2023 Fiscal Year Annual Research Report
Paneth細胞α-defensinの多様性が担う腸内エコシステムの解明
Project/Area Number |
22KJ0033
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠崎 竜我 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | α-defensin / Paneth細胞 / 腸内細菌叢 / 腸内イオン濃度 / 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、マウスα-defensinであるcryptdin 全アイソフォームの腸管内腔分泌量を低下させたマウス(α-defensins decreased mice: αDDM)と野生型マウスに高脂肪食(60%脂肪)を14週間摂取させ、経時的な体重変動や、糖代謝に関連する解析を行うことでα-defensin減少による腸内細菌叢破綻が腸内エコシステムの変動を介して2型糖尿病などの生活習慣病の形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。αDDMは高脂肪食負荷後、3週以降14週にかけて野生型と比較して高い体重上昇率を示した。ブドウ糖負荷試験と血漿中インスリン濃度測定をしたところ、高脂肪食負荷後6週においてブドウ糖投与による血糖値変動において2 群間で差は認められなかった一方、血漿中インスリン濃度は、αDDMにおいて野生型と比べてブドウ糖投与後15 分とAUCで有意に高い値を示した。以上より、αDDMは、高脂肪食負荷後6 週において、インスリン抵抗性を生じたことが示された。高脂肪食負荷後12 週において、αDDMは野生型と比べて、ブドウ糖投与15 分から120 分にかけて有意に高い血糖値を示し、また血漿中インスリン濃度は、AUC (Area Under Curve)で有意に高値を示した。以上より、αDDMは高脂肪食負荷後12 週において、野生型より早期に2型糖尿病を発症したことが示された。これらの結果は、すでに本研究の成果において2型糖尿病モデルの腸上皮直上のイオン濃度が変動することを示されていることから、α-defensin分泌量とイオン濃度により形成される腸内エコシステムの理解を促進するとともに、生活習慣病の新規予防法および治療法開発への貢献が期待される。
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