2022 Fiscal Year Annual Research Report
劣化土壌の微生物多様化・窒素蓄積に向けた混作と有機物施用の相互作用の評価
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21J22147
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
木村 有歌理 北海道大学, 国際食資源学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 混作 / 窒素循環 / 土壌微生物 / アンモニア酸化細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、前年度行った培養試験の成果のとりまとめを行った。具体的には、土壌微生物の多様性を改変した土壌に、窒素肥料を添加する培養試験を行った。培養土壌からDNAを抽出し、アンモニア酸化菌をターゲットとした微生物コミュニティ構造の解析を行った。その結果、多様性の高い土壌において、アンモニア酸化細菌及び古細菌の群集構造の安定性が高く、また窒素添加後の回復力も強いことが明らかとなった。この成果をまとめた論文を国際雑誌へ投稿し、国際学会でポスター発表を行った。 前年度、新型コロナウイルスの影響を受け、アフリカで新規フィールドの立ち上げを行うことが難しかった。期間内に成果を上げるため、当該年度はオランダに渡航し、既存の混作農地で研究を進めた。具体的には、燕麦、カラシナ、ファセリアを用いて混作を行ったフィールドで採取した土壌からDNAを抽出し、土壌細菌・真菌(16S、ITS)をターゲットとしたシーケンスを行った。今後、燕麦の単作区と比較し、混作区において土壌微生物の多様性や窒素循環に関連する機能の存在量がどの程度変化したのかを調べる予定である。加えて、化学肥料の長期的な施肥により植物多様性が変化した半自然草地で土壌サンプリングを実施し、DNA抽出およびqPCR法による窒素循環関連遺伝子の定量を行った。今後、草地の植物多様性が微生物の駆動する窒素循環とどのように関連しているのかを解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は既存の混作地で調査を行ったこと、また前年度投稿した混作に関する論文が受理されたことから、研究がおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、混作農地及び草地でサンプリングした土壌の微生物群集の多様性や機能を解明し、研究成果を随時論文としてまとめていく。また、多様性の高い土壌でアンモニア酸化細菌による硝化が促進されるメカニズムの解明も行っていく予定である。具体的には、アンモニア酸化細菌及び土壌細菌の液体培養試験を行い、多様性の高い培地で硝化が促進されるかどうかを検証する。加えて、ショットガンシーケンスを実施し、微生物のゲノム情報から代謝相互作用を推定することで、多様な微生物の下でアンモニア酸化が促進されるメカニズムを解明する予定である。
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