2023 Fiscal Year Annual Research Report
劣化土壌の微生物多様化・窒素蓄積に向けた混作と有機物施用の相互作用の評価
Project/Area Number |
22KJ0034
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 有歌理 北海道大学, 国際食資源学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 窒素循環 / 土壌微生物群集 / アンモニア酸化細菌 / 硝化 / 土壌DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は混作による土壌微生物の多様化が、窒素循環に関連する機能をどのように変化させているのかを明らかにすることである。 前年度までの研究で、混作を行い且つ有機肥料を施肥した土壌において、土壌微生物が多様化することが明らかとなった。また、土壌微生物の窒素循環機能を調べたところ、アンモニア酸化機能が増大していることがわかった(Kimura et al., 2022, Agriculture)。この結果をふまえ、土壌微生物の多様性の変化がアンモニア酸化細菌・古細菌の存在量や群集構造とどのように関連するのかを土壌培養試験により調べた。具体的には、土壌微生物の多様性勾配を人為的に形成した土壌に、硫酸アンモニウムを添加し、硝化速度及びアンモニア酸化細菌・古細菌数を定量した。また、アンモニア酸化細菌・古細菌をターゲットとした微生物群集構造の解析を行った。その結果、多様性の高い土壌において、窒素添加後のアンモニア酸化細菌の群集構造の安定性が高いことが示唆された(Mitsuta et al., 2023, Geoderma)。加えて、多様な土壌微生物の存在下でアンモニア酸化細菌による硝化が促進されるメカニズムを調べるために、アンモニア酸化細菌及び土壌細菌の培養試験を行った。その結果、多様性の高い培地で硝化速度が速いことが明らかとなった。また、培養液中の土壌細菌の機能を包括的に解析するために、DNA抽出を行い、ショットガンシーケンスを実施した。現在、このデータの解析を進めており、微生物のゲノム情報から代謝相互作用を推定し、多様な微生物の下でアンモニア酸化が促進されるメカニズムを解明する予定である。 また、前年度にはオランダの半自然草地で土壌サンプルを採取し、窒素循環関連遺伝子の定量及び土壌化学性分析を実施した。この研究成果に関して、学術雑誌に論文を2報投稿した。
|