2023 Fiscal Year Research-status Report
志村多様体論的手法によるGalois表現の変形理論の研究
Project/Area Number |
22KJ0041
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
沖 泰裕 北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 整数論 / トーラス / Galoisコホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
次数が平方因子をもたない代数体の拡大に対するHasseノルム原理について研究を行い, 任意の代数体に対しHasseノルム原理が成り立たないような新たな例を無限個構成した. 特に, 次数が3で割り切れる合成数かつHasseノルム原理を満たさないようなものが存在することを示した. 証明は, 前年度に実施したCMトーラスの玉河数に関する研究で用いた手法を基にしている.この結果についてはプレプリントとして公表済であり, 現在投稿中である. また, 既に国内外の4つの研究集会で発表を行っている. さらに, 上記の研究を進めることで, 次数2p(pは奇素数)の拡大におけるHasseノルム原理の成否について, 一部のpに対して完全に解明することに成功した. Pei-Xin Liang氏(中央研究院), Chia-Fu Yu氏(中央研究院)との共同研究により, Hasseノルム原理の一般化である多重ノルム原理について研究を行った. 具体的には, Bayer-Fluckiger--Lee--Parimalaの手法を一般化することで, 多重ノルム原理に関するDemarche--Weiの結果およびPollioの結果に統一的な解釈を与えた.さらに, べき零拡大の積に対する多重ノルム原理について, 素数べき拡大の場合に帰着できることを明らかにした.この結果についてはプレプリントとして公表済であり, 現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の結果は当初の研究計画の想定に含まれていなかったものであり, 昨年度に実施した研究の手法が志村多様体もしくは関連する数論幾何以外にも応用できる可能性を示唆するものである. その一方で, Kisin多様体および志村多様体の法p還元の研究については十分な研究成果を見出すことはできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
Kisin多様体については, 引き続きPEL型かつパラホリックレベルの場合に具体例の計算を行う. また,近年研究が進んでいるEmerton-Geeスタックの幾何との関係についても調査する. Hasseノルム原理については, 今年度に得られた結果と先行研究の手法を組み合わせることで, Hasseノルム原理の成否の分類についてより詳細な研究を行う. 多重ノルム原理については, 今年度の研究で用いた研究手法を利用することで, アーベル拡大の有限積に対する多重ノルム原理のさらなる解明を試みる.
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