2023 Fiscal Year Annual Research Report
核内構造体パラスペックルによる細胞分化制御機構の解明
Project/Area Number |
22KJ0060
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸谷 ひかる 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | パラスペックル / Neat1 / ベージュ細胞 / ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究により長鎖ノンコーディングRNAであるNeat1を欠損させたNeat1 KOマウスでは、寒冷刺激により皮下白色脂肪組織において分化が誘導されるベージュ細胞の分化が抑制されることが見出されていた。本年度はより詳細なメカニズムに迫るため、ベージュ細胞の分化過程においていつNeat1_2が必要となるのかを明らかにすることを目的とし、寒冷刺激後から複数のタイムポイントでのNeat1_2の発現変化を確かめることとした。室温飼育・寒冷飼育後4時間・24時間・4日間での皮下白色脂肪組織からRNAを回収して、ノザンブロッティングおよびRT-qPCRによりNeat1_2の発現量を定量した。すると寒冷飼育後4時間において一過的にNeat1_2の発現が増加することが明らかとなった。このことから、Neat1_2およびパラスペックルは寒冷飼育後4時間という分化の初期段階において、機能を発揮している可能性が示唆された。 また昨年度実施した皮下白色脂肪組織でのRNA-seqにより、寒冷刺激後24時間において多数の発現変動遺伝子を同定していた。そこでこれらの発現変動遺伝子についてゲノム上の位置を調べたところ、一部のゲノム領域に集中していることを見出した。特定のゲノム領域の転写調節に、寒冷刺激により発現が増加するNeat1_2が関与しているのではないかと仮説を立て、これらのゲノム領域とNeat1_2をFISHで染色しこれらの距離が寒冷刺激により変化するか検討を行なった。その結果、室温飼育時に比べ寒冷刺激後4時間においてNeat1_2のfociとこれらのゲノム領域が近づくことが明らかとなった。ゲノム領域とNeat1_2のfociは共局在はしないことから直接的に転写を制御しているわけではなく、間接的に転写調節に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)