2022 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病・慢性腎臓病患者の清潔ケアにおける皮膚バリア機能変動予測モデルの開発
Project/Area Number |
22J11419
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
紺谷 一生 北海道大学, 保健科学院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 清潔ケア / 清拭 / 皮膚バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
清潔ケアは患者の清潔保持と皮膚バリア機能の正常化に欠かせない看護ケアであるが,強い拭き取りなどの不適切な実践方法は皮膚バリア機能低下やスキンテア(皮膚裂傷)発生につながる.皮膚に優しい清潔ケア方法の開発と質向上に向け,本研究では清潔ケアによる皮膚バリア機能変動を予測するモデルを開発することを目的とした. 研究目的達成に向け,2022年度前期は患者の皮膚バリア機能に影響を与える介入内容の詳細を検討した.そこで,清潔ケアの中でも特に皮膚バリア機能への負荷が大きいと考えられた「清拭(温かいタオルで皮膚を拭き取る看護ケア)」に焦点を当てた.綿タオルを用いた清拭に関するこれまでの自身の研究成果から,皮膚への摩擦刺激の直接要因である「タオル素材」「清拭圧」「拭き取り回数」に着目した.近年,綿タオルを用いた従来清拭に代わり,衛生的なタオル管理と使用の簡便性を利点としたディスポーザブルタオル清拭が,欧米を中心に著しく普及している.そこで,ディスポーザブルタオル清拭時の清拭圧と拭き取り回数の実態調査を実施した上で,皮膚汚れが除去できる最小限の清拭圧と拭き取り回数を検証した.その結果,タオル素材(ディスポーザブルタオル・綿タオル)にかかわらず,汚れを除去するために過度な拭き取りは必要ないことが示唆された.これらの研究成果は当該年度中に国内外の学会3件で発表し,査読付き英語論文誌に掲載することができた. 2022年度後期は清潔ケアによる皮膚バリア機能変動予測モデル作成に向け,一般総合病院の高齢入院患者を対象にデータ収集を実施した.約半年間で十分な臨床データが得ることができたため,次年度は事前に計画したデータ解析を実施する予定である.本研究により,清潔ケアによる皮膚のバリア機能低下を生じうる高リスク患者の特徴を解明することができ,患者に応じた安全で有効な清潔ケアの提供を実現できると考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度はディスポーザブルタオル清拭に関する新たな知見を,学会発表や英語論文を通じて国内外に発信することができた.さらに,本研究課題の核となる計画を立案し,臨床現場の高齢患者を対象としたデータ収集を計画通りに遂行できた.現在までにデータスクリーニングが完了し,研究目的に沿ったデータ解析を行う準備も整っており,おおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
データ収集が完了しているため,今後は事前に計画したデータ解析に取り組んでいく.研究成果は学術集会で随時発表しつつ,英語論文にまとめ,早期公表を目指す.公表した研究成果はパンフレットやホームページを通じて臨床現場に還元できるよう,普及活動にも力を入れていく.
|