2022 Fiscal Year Annual Research Report
サケの自然産卵はなぜ重要か?流域管理を考慮した個体群管理手法の検討
Project/Area Number |
22J11475
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 太平 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 溯河性サケ科魚類 / 再生産効率 / 分断化 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械学習モデル(ニューラルネットワーク)を用いて、粒径予測モデルを構築し、道内全域の河床材料粒径を予測した。応答変数である河床材料粒径は、北海道開発局が取得したデータを使用した。説明変数は、GISによって算出可能な流域平均斜度や標高、気候条件などを用いた。予測値と文献から得たサケの産卵適地基準(粒径5.4-66.6 mm)をもとに、産卵適地の分布を地図化した。さらに、ダムの位置データを産卵適地地図に重ねることで、分断化の影響を評価した。 また、再生産効率を評価するために、北海道東部に位置する知床半島の10河川(金山川、フンベ川、モセカルベツ川、チエンベツ川、ケンネベツ川、ショウジ川、オショロッコ川、アイドマリ川、カモイウンベ川、クズレハマ川)において、サケとカラフトマスの親魚および稚魚のカウント調査を実施した。2022年度はカラフトマスのデータについて、統計モデル(一般化線形混合モデル)を用いた解析を行った。応答変数を稚魚総降下数、オフセット項を対数変換した総遡上数、説明変数を流域平均斜度、stream power index、流域最大24時間雨量、捕食者密度、親魚一個体が利用可能な産卵適地の面積、水温とした。なお、流域平均斜度、stream power index、雨量についてはGISを用いて算出し、それ以外の変数は現地調査により取得した。この解析の結果、再生産効率が流域の地形特性(流域平均斜度、stream power index)と雨量から負の影響を受けていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産卵適地地図の作成と、再生産効率を評価するための野外調査を完了できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に作成した産卵適地地図の精度検証を行う。実際の産卵場所がこの地図と一致しているかどうかを検証することで、地図の精度を明らかにすることができる。そのために、2023年の10月から11月にかけて、北海道内の30河川(ニカンベツ川、ルシャ川、糠真布川など)において、産卵床のカウント調査を実施する。また、サケの再生産効率のデータについての解析を進める。そして、構築したモデルをもとに、北海道内の各流域において、ダムを改良した場合に個体群に与える効果を評価する。
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Research Products
(6 results)