2022 Fiscal Year Annual Research Report
不動態アルマイトの構造革新による長寿命アルミニウム材料の創製
Project/Area Number |
22J11632
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩井 愛 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | アノード酸化 / アルミニウム / アルマイト / 耐食性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでに用いられてこなかった電解質化学種を用いてアルミニウムのアノード酸化を行うことにより、アルミニウム表面に新規な化学的・物理的特性をもつ耐食性不働態皮膜(アルマイト)の形成を目指したものである。本年度は、塩基性電解質水溶液を用いて新規なアルマイトを形成するとともに、アルマイト形成試料を腐食環境に浸漬した際の挙動を、電気化学的な観点および微細構造解析的な観点から評価することを試みた。 四ホウ酸ナトリウム水溶液を用いて作製した本研究のアルマイトは、(1)高いアノード酸化電圧を誘起できるとともに、アノダイジングレシオ(単位電圧当たりに生成する酸化皮膜の厚さ)が大きい、(2)(1)により、アルミニウム素地と外界を隔てる酸化皮膜(バリヤー層)を他の典型的なアルマイトと比べて厚く形成できる、(3)酸化皮膜中に耐食性低下の原因となる不純物アニオンを取り込まない、以上3点の特筆すべき特徴をもつ。このアルマイトと、従来のアルマイト(硫酸、シュウ酸、クロム酸およびリン酸などを用いて作製したもの)を酸性および塩基性の腐食環境に浸漬したところ、従来のアルマイトは比較的短時間の浸漬により酸化皮膜が完全に溶解した一方、本研究のアルマイトは、従来のアルマイトと比べて2倍以上長時間の浸漬を行っても酸化皮膜が残存し、アルミニウム素地を保護し続けていることがわかった。以上より、四ホウ酸ナトリウムを用いたアルミニウムのアノード酸化により作製したアルマイトは、極めて高い耐食性をもつことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な塩基性電解質を用いたアルミニウム基板のアノード酸化により、従来のアルマイトの2倍以上高い耐酸性・耐塩基性をもつアルマイトの形成に成功したため、当初の研究計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規な塩基性電解質を用いたアルマイト形成プロセスを実用アルミニウム合金へと展開し、高耐食性表面処理法としての実用化を目指す。
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Research Products
(4 results)