2023 Fiscal Year Annual Research Report
不動態アルマイトの構造革新による長寿命アルミニウム材料の創製
Project/Area Number |
22KJ0073
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩井 愛 北海道大学, 大学院工学研究院, 助教
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | アノード酸化 / アルミニウム / アルマイト / 耐食性 / 平滑化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、これまでに用いられてこなかった塩基性電解質化学種を用いて純アルミニウム板およびアルミニウム合金板のアノード酸化を行うことにより、アルミニウム表面に新規な化学的・物理的特性をもつ耐食性不働態皮膜(アルマイト)の作製を試みた。 本年度は、(1)四ホウ酸ナトリウム水溶液を用いた新規なアルマイト形成法を種々の実用アルミニウム合金板に適用するとともに、沸騰水中に浸漬して封孔処理を行う研究と、(2)メタホウ酸ナトリウム水溶液を用いて作製したアルマイトによるアルミニウム基板表面の平滑化を実施した。 A1050およびA3004合金を四ホウ酸ナトリウム水溶液に浸漬してアノード酸化を行うと、典型的なアルマイトに類似した垂直細孔と、合金中の金属間化合物の溶解により生じた直径数十ナノメートルの横方向の微細孔をもつ酸化皮膜が形成された。一方、A5052およびA7075合金を用いると、比較的低い電流密度においては上述の酸化皮膜が生成したが、高電流密度を印加するとアノード酸化中に試料表面で火花放電が生じ、結果として試料表面には無秩序な細孔構造をもつプラズマ電解酸化皮膜が生成した。すなわち、アノード酸化に供する合金種と印加する電流密度により、生成する酸化皮膜のナノ構造が大きく変化することを明らかにした。これらの酸化皮膜形成試料を沸騰水中に浸漬すると、酸化皮膜の細孔内部に水和酸化物が析出し、細孔が封じられたことから、さらなる耐食性の向上が見込まれた。 メタホウ酸ナトリウム水溶液を用いてアルミニウムのアノード酸化を行うと、皮膜底部が極めて平滑なアルマイトが生成する。このアルマイトを作製したのち溶解することにより、電解研磨を超える超平滑アルミニウム表面を形成できることを明らかにした。
|
Research Products
(5 results)