2023 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンガジエンによるスフィンゴ脂質多様性創出機構の解明
Project/Area Number |
22KJ0087
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
城島 啓佑 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | スフィンガジエン / FADS3 / スフィンゴ脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き,FADS3の酵素学的解析,スフィンガジエン(SPD)の代謝,SPDの機能の3つの項目に関して解析を行った。前年度にはFADS3の基質特異性に関する解析の一環としてin vitroの活性測定を行ったが,本年度は同様の系でFADS3の不飽和化反応に補酵素であるNADHまたはNADPHが必要であることを新たに見出した。また,細胞系を用いた解析から,セラミドの脂肪酸部分の分岐鎖構造の違いがFADS3の基質選択性に重要であることを見出した。続いて,SPDの代謝に関する解析については,前年度ではSPDの複合スフィンゴ脂質代謝を調べ,ヘキソシルセラミドに代謝されづらいことを明らかにしており,今年度はマウス組織の解析によってin vivoにおいても同様の代謝を受けることを明らかにした。また,培養細胞を用いたトレーサー実験によってSPDの脂肪酸への分解経路における代謝産物を調べ,ω-4系列の特殊な不飽和脂肪酸に代謝されることを明らかにした。これらの結果に関して学会発表および国際論文への投稿を行い,研究を完了させることができた。スフィンガジエンの機能に関する研究については,昨年度にFads3 KOマウスの作製及びその脂質組成解析を行い,スフィンガジエンが消失することを確認した。表現型解析においてはFads3 KOマウスが目立った表現型を示さないが,シスプラチンを用いて腎負荷を行うことで,腎機能の指標である血清中の尿素窒素およびクレアチニン量の減少を示唆する結果を得ていた。本年度は生化学検査を行うマウスの匹数を増やして実験を行ったところ,昨年度の報告と同様の結果が確認され,再現性をとることができた。現在,この現象が起こるメカニズムを調べるためにFADS3 KOマウス及び細胞を用いてさらなる解析を行っており,今後も研究の進展が期待される。
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