2023 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制蛋白質HLA-G2のバイオ医薬品開発に向けた分子認識基盤解明
Project/Area Number |
22KJ0088
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 紘士 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | HLA-G2 / LILR / 免疫調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、免疫抑制蛋白質human leukocyte antigen (HLA)-G2を基盤としたバイオ医薬品開発に向け、ヒト生体内でのHLA-G2作用機序の解明を主目的としている。 昨年度は、HLA-G2の新規受容体探索を行い、過去にHLA-G1受容体として報告例のある受容体を新規HLA-G2受容体として同定し、さらにHLA-G2認識ドメインを同定した。また、この受容体が、HLA-G2に対し、既知HLA-G2受容体LILRB2と競合的に結合することを明らかにした。 この同定した新規HLA-G2受容体はヒト末梢血単核細胞ライセート中において、ジスルフィド結合を介した二量体を形成することが報告されている。そのため、生体内においてこの新規受容体が二量体を形成する場合、HLA-G2をはじめとしたリガンドへの結合能に影響を与えることが予想された。そのため、今年度は、この新規受容体の分子形態の解析、リガンド結合能評価を行った。まず、新規受容体が二量体をとりうる構造か検証するために、分子間ジスルフィド結合形成に必要な遊離システイン (Cys)残基の同定を行い、二量体形成に寄与すると示唆されるCys残基を同定した。また、この二量体を用いて HLA-G2 との相互作用を 表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance: SPR) 法により検証したところ、新規受容体の二量体は HLA-G2に対し多価結合特有の二相性のセンサグラムを示し、さらに単量体と比較して結合能が向上することが示唆された。以上の結果から、この新規HLA-G2受容体はジスルフィド結合を介した二量体形成により、単量体と比較して HLA-G2 への結合能が向上することが示唆された。
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