2022 Fiscal Year Annual Research Report
カスプ付きdivideを用いた直線配置の低次元トポロジー的研究
Project/Area Number |
22J20470
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 朔見 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 超平面配置 / ハンドル分解 / Kirby図式 / divide / カスプ付きdivide |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の一つの目標であった、複素化された実直線配置の補集合の微分同相型の記述については、本年度に入る前に吉永氏との共同研究の中で成果を出すことができた。そこで、本年度はまず、複素化された実直線配置の一般化ともいえる、平面曲線の補集合に対する微分同相型の研究を行なった。複素化された実直線配置の場合に用いた手法は実直線配置の組み合わせ的な構造に強く依存しており、そのままの手法では一般化することができない。そこで、平面曲線の補集合の基本群を求める際に有用な、ブレイドモノドロミーの概念を基に研究を行なった。ブレイドモノドロミーによって得られる基本群の関係式の由来を精密に調べることにより、微分同相型を記述するアルゴリズムが見えてきている。この結果について現在論文を執筆中である。 また、実直線配置の複素化補集合のKirby図式の記述の際に用いた、カスプ付きdivideの結び目理論的な性質の研究を行なった。A’Campoの導入したdivideは、得られる絡み目がファイバー絡み目であるという非常に強い条件があり、表せる絡み目のクラスは非常に少ない。今回導入したカスプ付きdivideはそれよりもより広いクラスの絡み目を表せることが知られている。しかし、カスプ付きdivideの絡み目は非常に高い対称性を持つ。そのため、周期的結び目や強可逆結び目との関連の調査を行なっている。 さらに、上記で述べた研究に加えて一部吉永氏、石橋氏との超平面配置の二重被覆空間や局所系係数ホモロジーについての共同研究を行った。結果として、二重被覆のBetti数やトーションの数に関する公式や、ある条件を満たす局所系に対する整係数局所系のコホモロジーの計算結果を得られた。これらの結果はプレプリントとしてまとめ、現在論文雑誌へと投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、実直線配置の複素化補集合のKirby図式を、カスプ付きdivideを用いて記述することができ、さらに一般の代数曲線の補集合に対して応用して研究を進めることができた。また、カスプ付きdivideの、結び目の対称性の観点からの考察も進んでいる。以上の点から順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中である、平面曲線補集合のKirby図式の記述に関する論文を完成させ、カスプ付きdivideの絡み目の特徴づけも行いたい。本研究は直線配置、代数曲線の観点から代数幾何、組み合わせ論、Kirby図式やカスプ付きdivideの観点からは4次元多様体論、結び目理論と関わり、幅広い分野と交わる分野である。そのため、研究集会へと参加し、多くの専門家と交流することで、新たな研究の方向性を取り入れて生きたい。
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