2022 Fiscal Year Annual Research Report
光導波路分光装置を用いた飲料水中の高感度病原微生物モニタリング法の開発
Project/Area Number |
22J21154
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
中島 芽梨 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | バイオセンサ / 金ナノ粒子 / ハイブリダイゼーション / 硝化細菌 / 病原体 / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
光導波路法の改善やさらなる高感度化と微生物分析プロトコルの確立を行なった。下水処理に関わる細菌(アンモニア酸化細菌)、病原微生物(腸管出血性大腸菌O157:H7)や糞便汚染や病原性ウイルスの指標となりうるウイルス(トウガラシ微班ウイルス:PMMoV)について開発した分析法を用いて分析を行い、測定条件の最適化などを行なった。アンモニア酸化細菌については下水処理場にて採取した活性汚泥からDNAまたはRNA抽出によりサンプルを得た。O157:H7については純菌(Escherichia coli, O157:H7 str.Sakai)を培養し、RNA抽出によりサンプルを得た。PMMoVについては流入下水または初沈汚泥中のPMMoVを孔径0.45μm のメンブレンフィルターを用いた陰電荷膜法により濃縮し、RNA抽出によりサンプルを得た。開発した分析法を用いて、アンモニア酸化細菌の16S rRNA遺伝子と16S rRNAを定量し、O157:H7の検出の際に対象とされるrfbE遺伝子とeae遺伝子のmRNA、PMMoVのゲノムRNAを検出することができた。アンモニア酸化細菌の分析プロトコルについては、下水処理場で日常的に使用されている紫外可視分光光度計を用いても光学的分析を行えるため、実際の処理場でのモニタリングに適用可能な手法であることが確認できた。 また、途上国でのオンサイトモニタリングを目標とし、ハロゲンランプとステージからなる小型の光導波路装置を開発し、スマートフォンでの画像撮影・分光分析と組み合わせた新たな分析プロトコルを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、下水処理に欠かせない微生物や、水系感染症の原因となる微生物の分析プロトコルを確立することができたため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き光導波路法の高感度化や、水処理システムで処理を担う微生物、病原体の分析プロトコルの確立に取り組む。また、対象とする水処理プロセスの微生物群集構造解析を行うことで、安定的な運転管理を行う上で検出対象に最も適した微生物をリストアップし、それらの検出と分析プロトコルの確立も行う。
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