2022 Fiscal Year Annual Research Report
規範倫理理論間の重みづけ多数決によって自律的道徳判断を行う人工知能の開発
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22J21160
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹下 昌志 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 人工知能 / 常識道徳 / 功利主義 / データセット / 道徳的エンハンスメント / AIエンハンスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、データセットの作成、および哲学関係の学会での報告、哲学論文の出版を行った。 まずデータセットの作成に関して、英語版の常識道徳のデータセット、および功利主義に基づいたデータセットの作成方法を概ね踏襲し、日本語版の常識道徳データセットと功利主義データセットを作成した。この内、常識道徳データセットはJCommonsenseMoralityとしてすでにweb上で公開している。功利主義データセットについても公開のための準備を進めている。功利主義データセットは今年度、次年度に作成予定の人工知能モデルの学習用データセットとして重要なものである。また常識道徳データセットを作成・公開したことで、他の研究者にも容易に使用できるようにした点で、日本のAI倫理に一定の貢献をしたと考える。 次に哲学関係の学会での報告、論文の出版について、本研究で開発する、自律的道徳判断を行う人工知能モデルに関する倫理について報告を行い、また論文化して出版した。内容は、近年、道徳的エンハンスメントというトピックで、これまでの生物医学的手法を用いたエンハンスメントではなく人工知能を用いたAIエンハンスメントが提案されており、これの検討を行った。本報告および論文では特に、人工知能の道徳的判断を信じることが道徳的に許容可能かどうかについて検討し、多くの場合で許容可能であると論じた。この研究は本研究を哲学的に基礎づける点で、本研究においても重要な位置を占めている。 以上のように、昨年度は人工知能と哲学での学際的研究を行い、またそれについて学会で報告、論文化して出版するなどを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにデータセットの作成、および学会での報告が実施できた。ただし、進捗とは別に、研究費の予算の見積もりに関して若干の過小評価があったことがわかった。特に、データセットの作成にあたって当初の予定以上に費用がかかることが判明した。この問題はすでに、データセットの規模を若干縮小することで解決しており、次年度以降のデータセットの作成にあたってもすでに計画を修正済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様に、データセットの作成、および学会での報告、論文の出版を目標に研究を進める。ただし、データセットの作成にあたって当初の予算の見積もりよりも費用がかかることが判明したため、データセットの規模を当初の予定より若干縮小することで、予算内でデータセットの作成を実施する。
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