2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of interaction and evolutionary mechanism of plant virus coinfection
Project/Area Number |
22KJ0140
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川久保 修佑 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | ウイルス学 / 進化 / RNAサイレンシング / 宿主適応 / 分子系統学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポティウイルス属は200以上のウイルス種によって構成される植物RNAウイルス最大の分類群であり、単子葉植物から双子葉植物までを含む極めて広範な宿主域を持つが、宿主域がどのように決定されるかは、未だ明らかでないことが多い。ポティウイルスの1種リーキ黄色条斑ウイルス(LYSV)はニンニクの重要病原ウイルスであるが、ニンニク以外のネギ属植物でも感染が報告されており、異なる宿主への適応過程や分子機構は明らかにされてない。LYSVが感染しているネギ属植物を採集し、ウイルスのゲノム解析を行なったところ、LYSV はP1 遺伝子に68 アミノ酸の欠失を持つS-type と欠失を持たないN-type に対応した2つの分子系統グループに13 世紀ごろ分岐したことが明らかになった。また、birth-death modelを用いた適応度推定によりS-typeの方がN-typeよりも高い適応度を持つことが示された。さらに、N-typeの分離株の中にはリーキ特異的に感染するLYSV からなる単系統グループが存在することが明らかになった。リーキの変異種と異種間交雑種を調査すると、リーキ特異的系統グループに属するLYSV 分離株の感染が確認された。宿主適応における進化方向性を決定する重要因子として、ポティウイルスが持つ主要なRNAサイレンシングサプレッサー(RSS)タンパク質であるP1とHC-Proに着目し、タンパク質発現系でRSS活性を定量した。リーキ特異的系統グループに属するLYSVがコードするP1とHC-Proをリーキ細胞で共発現させると、ニンニクに感染するLYSVよりも高いRSS 活性を示した。RSS 活性を変化させることにより、異なる宿主に適応しそれが進化方向性を決定する一因であることを、系統樹情報の解析と分子生物学実験を融合したアプローチにより示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ウイルスと宿主の相互作用がどのように互いの進化を推進してきたのかを描出することができた。 また本研究成果をまとめた論文は、米国微生物学会が発行する国際誌Microbiology Spectrumに掲載されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究成果より、ウイルスの進化的戦略が様々な外的要因との相互作用のもと動的に変化していることが示唆された。今後は、このようなウイルス進化を追跡および推定したデータに基づき、ウイルスの未来の進化が予測可能かどうかについても迫りたい。
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