2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of neurodevelopmental toxicity caused by low concentration of environmental estrogens and its mechanism
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21J23513
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
Chen Xing 帯広畜産大学, 畜産学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / ビスフェノール類 / エストロゲン様作用 / エストロゲン受容体 / 循環障害 / 発達神経毒性 / 行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境化学物質の低濃度曝露による発達神経毒性とその作用機序解明を目的とする。令和4年度は主に以下の成果を得た。 ビスフェノールA(BPA)およびいくつかのBPA代替物質(ビスフェノール類)について、曝露仔魚における発生毒性の評価を行った。試験したいずれの物質(BPA、BPE、BPF、BPAF、Bis-MP、BP C2)についても、心臓周囲浮腫や体幹血流の低下を含む循環障害や致死が濃度依存的に認められた。他方、これら循環障害がみられない濃度の胚仔魚を用いた行動解析では、一部を除き運動性の変化や不安様行動はみられなかった。次いで、ビスフェノール類誘発性の循環障害に対するエストロゲン受容体の関与について、ビスフェノール類とフルベストラント(FUL)の共曝露胚における循環器系への影響を評価するとともに、RNA-seq解析による遺伝子発現への影響を評価した。その結果、FULはBPA・BPE・BPF誘発性の循環障害に対して改善効果を示さなった。なお、BPAF・BP C2・Bis-MPについては、FULとの共曝露群において被験物質の水溶液濃度の顕著な低下がみられたため循環障害発現の閾値に到達せず、本実験でエストロゲン受容体介在性の評価はできなかった。次いで、曝露胚を用いたRNA-seq解析により発現変動遺伝子(DEGs)の検出を試みた。その結果、循環障害を誘発する最小濃度において、BPA(30 uM)およびBPAF(10 uM)はそれぞれ148遺伝子、938遺伝子の発現を変動させた。DEGsを対象としたエンリッチメント解析の結果、BPA曝露胚では細胞ストレスに対する応答が、BPAF曝露胚ではPPARシグナル伝達系が関与する脂質代謝の撹乱が、それぞれ循環障害に関与するという可能性が考えられた。また、BPA曝露胚では、神経・視覚・光反応に関連する遺伝子群の発現変化も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は以下のように要約され、研究の進展に加え、昨年度の成果を学術論文として発表したことも踏まえ、おおむね順調に進展していると判断した。 1) ゼブラフィッシュ胚を用いて、ビスフェノール類が循環障害を引き起こすこと、ならびにその用量効果を明らかにした。 2) BPAおよびBPAF曝露胚を用いたRNA-seq・エンリッチメント解析により、発現変動遺伝子の総数や影響を受けたパスウェイが両者で顕著に異なることを明らかにした。さらに、それぞれの化合物について、循環障害への関与が示唆される遺伝子やパスウェイを明らかにした。 3) 行動解析で顕著な影響はみられなかったものの、RNA-seq解析によりビスフェノール類は神経系や行動と関連するパスウェイに含まれる遺伝子の発現を変動させたことから、発達神経毒性との関連性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は以下の研究を推進する予定である。 昨年度までの結果を踏まえ、本年度はビスフェノール類以外のエストロゲン様物質(エクインエストロゲン類やゼアラレノンとその関連物質など)について、同様に曝露仔魚の運動性や不安様行動を評価するとともに、曝露仔魚より得た総RNAを用いて、RNA-seq解析で発現変動遺伝子を網羅的に解析する。RNA-seqにより得られたデータを用いて遺伝子オントロジー解析やパスウェイ解析を実施し、これら化合物の曝露で生じる発達期の神経毒性などに共通する遺伝子レベルのkey eventを抽出する。また、各エストロゲン受容体サブタイプのノックダウン胚を用いた曝露試験を行い、同様に仔魚の行動や遺伝子発現への影響を評価することで、エストロゲン受容体介在性を評価する。なお、既に取得済みのデータについては、国内・国際学会にて発表するとともに早期に論文化して公表する予定である。
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[Presentation] In vivo and in silico assessment of antiandrogenic potentials for environmental chemicals using zebrafish2023
Author(s)
Chen, X., Hirano, M., Ishibashi, H., Lee, J.S., Kawai, Y.K. and Kubota, A.
Organizer
SOT 62nd Annual Meeting & ToxExpo
Int'l Joint Research
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