2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Escherichia coli survival conditions focusing on eutrophic lake and development of its dynamic model reflecting these conditions
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22J20064
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
米田 一路 岩手大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸菌 / 水・底質モニタリング / 死滅速度 / 生存モデル / 室内実験 / 水質項目 / 水環境 / 湖沼 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,湖沼における大腸菌動態モデルの開発に向けて,モデルの構築とその検証に必要な基礎データを収集するために,富栄養化が懸念される湖沼(農業用ため池)での大腸菌数を含む水・底質モニタリングおよび,水中における大腸菌の生存を評価する室内実験を実施した。 山形県庄内地域の農業用ため池で実施した大腸菌数を含む水質と底質のモニタリングの結果,池水の大腸菌濃度は年間を通して環境基準値A類型(300 CFU/100 mL)以下であり,大腸菌汚染はほとんどなかった。しかし,池水の大腸菌濃度は,10月から12月にかけて池に飛来する渡り鳥の影響でやや上昇し,1月以降は融雪水の流入によって再び低下することが明らかとなった。2023年度もこのため池でのモニタリングを継続して実施し,大腸菌動態モデルの構築および精度検証に必要なデータを収集する予定である。 室内実験では,大腸菌の生存に大きな影響を与える水質および環境項目を特定し,大腸菌生存(動態)モデルを構築する際に考慮すべき項目を選定するために,水温,pH,溶存酸素,溶存有機物,SS,共存微生物の存在,太陽光の中から2つの項目を変化させながら,水中における大腸菌の生存を評価した。その結果,水中における大腸菌の生存には,太陽光が最も大きな影響を与え,その次に共存微生物の存在,温度,pH,溶存物質が影響を与えることが分かった。2023年度は,室内実験により得られた結果をもとに,大腸菌生存(動態)モデルの構築を進める。さらに,水環境の底質を用いて,地温等の環境項目を変化させながらの類似の室内実験を行い,底質での大腸菌の生存に影響を与える項目を明らかにし,底質における大腸菌生存モデルも構築する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,ため池における水・底質モニタリングと水中における大腸菌の生存を評価する室内実験を行い,これらの研究は期待通りに進展した。しかし,モニタリング対象とする池の選定および室内実験の条件検討に想定以上の時間を要し,2022年度に実施予定であった底質における大腸菌の生存を評価する室内実験に着手できなかったため,本研究課題の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,昨年度に着手できなかった底質における大腸菌の生存を評価する室内実験を行い,昨年度の遅れを取り戻す。また,昨年度から実施している農業用ため池における水・底質モニタリングを継続して行い,一年間の連続的なデータから,対象池が富栄養化湖沼に該当するのかを判断する。さらに,昨年度に取得した池の水・底質モニタリングと水中での大腸菌の生存を評価する室内実験の結果を用いて,大腸菌動態モデルの開発を行う。 また,水中における大腸菌の生存を評価する室内実験の結果については,国際雑誌への投稿に向け,準備中である。
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Research Products
(14 results)