2021 Fiscal Year Annual Research Report
活動銀河核円盤におけるコンパクト星連星の形成進化の解明と重力波観測との比較
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21J00794
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田川 寛通 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 重力波 / 活動銀河核円盤 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
重力波観測により発見されているブラックホール合体の天文学的な起源を解明するため研究を遂行した。特に、活動銀河核円盤内での合体に着目し、このモデルを検証することを目的とした研究を行った。 モデルを判別するための物理量として、まず、活動銀河核円盤内にて合体するブラックホール連星の離心率や質量比がどのように分布するか定量的に調べた。特に最近、GW190521という重力波イベントにおいて、合体時のブラックホールの軌道離心率が著しく高いことが示唆されており、そのような高い離心率を持つ合体がどのようにして起こったのか、大きな問題となっている。申請者らは、このような連星の高い軌道離心率を説明する現時点で最も有力なモデルを提唱し、この結果はNatureに掲載されるなど注目を集めている。 次に、活動銀河核円盤内での合体において、連星の質量比や、質量、スピンがどう分布するか調べ、モデルごとの物理量の分布の違いを定量的に示すことに成功した。これらの結果と今後の重力波イベントを比較することで、様々な物理量を用いたモデルの判別が可能となった。 さらに、重力波の天文学的なモデルを判別するために、合体が観測されているブラックホール連星の質量とスピンの相関を解析することが有用であるということを初めて提唱した。また、この解析を重力波観測の第三回目の公開データに適用することによって、ブラックホール合体が銀河系中心領域のような、脱出速度が大きい系で起こっている可能性が高いことを初めて示唆した。この研究結果は、ブラックホール合体の天文学的なモデルの解明に寄与する、重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、5本ほど論文を出版することに成功した。そのうち1本はNature誌、1本は高IF誌であるAstrophysical journal letter、3本は国際英文誌のAstrophysical journalとMNRASである。このように、申請者は順調に研究成果を輩出、発表できている。また、研究計画にて1-2年目にて行う予定であった研究をおよそ既に遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、重力波観測に限らず、様々な方法で活動銀河核円盤内でのコンパクト天体の合体について解明していく。特に、近年観測された、ブラックホール合体に付随した可能性のある可視光やガンマ線の突発天体を活動銀河核円盤内での合体によって説明が可能であるか調べる。さらに、このようなシナリオをどのように観測的にテスト可能か提案する。
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Research Products
(6 results)