2022 Fiscal Year Annual Research Report
活動銀河核円盤におけるコンパクト星連星の形成進化の解明と重力波観測との比較
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21J00794
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田川 寛通 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 重力波 / 活動銀河核円盤 / 突発現象 / ブラックホール / ジェット / 電磁放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力波観測により発見されているブラックホール合体の天文学的な起源を解明するため研究を遂行した。特に、活動銀河核円盤内での合体に着目し、このモデルを検証することを目的とした研究を行った。 このモデルの痕跡を見つける新しいアプローチとして、申請者は活動銀河核の降着円盤内部にブラックホールが存在する時に放射される電磁波信号を理論的に計算し、どのような電磁波観測を通じてブラックホールの分布や合体過程を検証できるか検討した。その結果申請者らは、活動銀河核における特異な増光現象としてブラックホールからの放射を検出、同定できることを見出した。このモデルでは、過去に報告されている連星ブラックホール合体事象と電磁波の対応天体候補を説明する事が可能であり、その事実関係などは広く注目されている。また、将来の連星ブラックホール事象に対する電磁波追観測によりシナリオの検証が期待されるなど、将来の研究への広がりなども期待できる。 さらに申請者らは、合体していないブラックホールからの様々な放射についても予言を行った。これらの放射は、多波長電磁放射や、ニュートリノ背景放射、ガンマ線背景放射、弱電波活動銀河核からのニュートリノやガンマ線放射、最高エネルギー宇宙線として観測されている可能性があることを示した。これらの観測により、活動銀河核円盤内のコンパクト天体の分布を制限できるだけでなく、様々な起源が分かっていない現象を解明できる可能性があり、重要な示唆を与えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、論文を3本国際誌に出版し、3本を提出、1本の論文を準備した。研究計画の内容をおよそ終了させ、さらに発展させた内容について研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
活動銀河核円盤内のコンパクト天体について、その合体現象に限らず、その進化を制限するために研究を進める。特に、最近新しく発見された起源の分かっていない突発天体に着目し、この現象が活動銀河核円盤とコンパクト天体の相互作用により生じている可能性を議論する。
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Research Products
(4 results)