2023 Fiscal Year Annual Research Report
3次元微細構造観察と数値解析による海洋リソスフィア含水化の時空間発展の解明
Project/Area Number |
22KJ0168
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 一貴 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 蛇紋岩化反応 / 水素生成 / 岩石ー水反応 / オマーンオフィオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、オマーンオフィオライトの下部地殻―上部マントルの連続掘削試料の岩石組織の観察と鉄の酸化還元状態の測定を、昨年度から継続して行うことで、海洋リソスフィアの蛇紋岩化における水素発生ポテンシャルを調査した。蛇紋岩中の水素発生量と水素発生量を支配する因子を明らかにするため、放射光X線吸収微細構造(XAFS)解析を用いた鉄の酸化還元状態の解析を行った。岩石中の鉄の酸化還元状態の空間分布を明らかにするために、2次元イメージングXAFS測定を行った。その結果、網目状組織を伴う蛇紋石に含まれる全鉄のうち、25-46%は三価の鉄であることが明らかになった。岩組成分析と各鉱物の鉄の含有量、岩石組織の観察から、各岩相における磁鉄鉱と蛇紋岩の水素生成への寄与と水素生成段階について調べた。その結果、網目状組織を伴う蛇紋岩化が主な水素発生ステージであることがわかった。また、下部地殻の斑れい岩では、水素発生においてマグネタイトの寄与が大きいのに対して、ダナイトや上部マントルのハルツバージャイトでは蛇紋岩の寄与が大きいことが明らかになった。これは、岩相によって水素発生量と水素発生を担う鉱物が変化し、マグネタイトが形成されにくい場合でも三価の鉄を含む蛇紋石の形成によって水素が発生することを示唆する。これらの結果は、蛇紋岩化反応における水素発生プロセスのさらなる理解につながるものである。
|
Research Products
(6 results)