2022 Fiscal Year Annual Research Report
X線μCTを用いたバイオフィルム中での特定微生物の分布の3次元可視化技術の開発
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21J21027
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浦崎 幹八郎 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 環境微生物 / バイオフィルム / 廃水処理汚泥 / X線検出 / SEM / X線μCT |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実施計画の1点目は、2021年度と同じく、対象とするバイオフィルムの微生物群集の調査であった。廃水処理において使用される微生物群集である汚泥について、さまざまな廃水処理汚泥を対象に調査を行った。また、2021年度の研究進捗をもとに策定した2022年度の研究実施計画は、フッ素元素や臭素元素の標手法の改良であった。フッ素元素の染色に関しては、16S rRNAを標的としたDNAプローブおよび酵素反応であるTSA反応を用いる基本的なプロトコルはそのままに、反応に用いる試薬の組成や反応条件等の条件検討を実施した。本手法によりフッ素を標識した微生物サンプルをSEM-EDX、およびSEM-WDXによる観察および元素測定に供したところ、十分なS/N比を得ることができなかった。臭素元素の特異的な標識手法の開発に関しては、これまでのプロトコルに加えて、DNAプローブおよび、核酸伸長反応であるHCRを用いたプロトコルを考案した。蛍光顕微鏡を用いた予備観察の結果、想定したプロトコル通りに反応が進行していることが確認された。本手法により臭素を標識した微生物サンプルをSEM-EDX、およびSEM-WDXによる観察および元素測定に供したところ、十分なS/N比を得ることができなかった。これらの試行および文献調査の結果等を踏まえ、金属元素を標識するプロトコルであれば検出しやすいと考えらえたため、今後は金属元素による微生物細胞の特異的標識手法の開発を行う。 また、2021年度に引き続き、特異的な標識手法の開発に対するコントロールとして、heminおよびTSA反応を用いた全菌染色手法を開発している。本手法の適用範囲を拡大し、土壌サンプル中に棲息する微生物を検出した。加えて、2021年度に実施した高分解能X線CTにより金標識微生物サンプルを撮影した結果について、画像処理および立体構築を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
金元素を標識した微生物サンプルの高分解能CT画像の立体構築には至っているものの、金以外に選定した元素が、微生物細胞に標識した場合、X線による特異的検出に適さないことが示された。異なる重元素の標識プロトコルに取り組まねばならないため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで取り組んできた酵素反応・核酸伸長反応に加えて、金属組織学的な増感反応を重視したプロトコルを構築することで、金以外の金属元素の標識手法を確立する。
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