2021 Fiscal Year Annual Research Report
系統特異的ゲノム配列に着目したヒレから四肢への形態進化研究
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21J21343
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 栄大 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 魚類特異的ゲノム配列 / 四足動物特異的ゲノム配列 / HCEs / 高度保存ゲノム配列 / 進化発生学 / 比較ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、魚類特異的な高度保存ゲノム配列(HCEs)と、四足動物特異的なHCEsの特定を行った。 魚類特異的なゲノム配列の特定については、ゼブラフィッシュをリファレンスとして、肉鰭類や軟骨魚類を含む16種の魚類と、四足動物5種のアラインメントを行った。その結果、多数の魚類特異的なHCEsを得ている。これらの中には、ヒレの形成に重要な配列が存在すると考えられ、ヒレから四肢の進化の間に消失した配列であると考えることができる。また、ヒレに関係ないものでも、魚類の特徴的な形態の形成に寄与していると考えることができる。そういった点で、これらの配列のカタログを作成できたことには意義がある。 四足動物特異的なゲノム配列については、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類を含む14種の四足動物と、6種の魚類のゲノム配列をアラインメントした。その結果、多数の四足動物特異的なHCEsを得ており、これは魚類特異的なHCEsと同様の意義を持つ。さらに、四足動物特異的なHCEsのうち、6302個の配列は、非コード領域上に存在することが分かった。これは全HCEsのうちおよそ24%であった。また、非コード領域上の配列の近傍にある遺伝子を特定し、その遺伝子群の特性を解析する(GO解析)プログラムを実行したところ、発生関連遺伝子が多く濃縮されていることが分かった。これは、発生関連遺伝子の周辺に保存配列が多いという先行研究とも一致しており、四足動物の進化の過程でも同様のことが起こっていることが明らかとなった。また、本研究で特定したHCEsは、四肢発生に関連する遺伝子の周辺にも濃縮されており、これらが四肢発生の調節を行っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
四足動物特異的ゲノム配列の解析に関しては、当初の計画通りか、それ以上の進度である。 魚類特異的なゲノム配列の解析に関しては、やや遅れている。理由は主に以下の3つである。1つ目は魚類の解析の優先順位の低下である。魚類は世代時間が短く、短時間で比較的多くの実験ができるが、四足動物は魚類と比べて遺伝的な実験に時間がかかる。そのため、四足動物を優先して解析することにした。2つ目は、ゲノム配列の比較に用いるハイギョとアホロートルのアラインメントがうまくできなかったからである。この2種はヒトのおよそ8~12倍のサイズのゲノムを持っている。また、反復配列の割合も多く、ほかの動物種のアラインメントと同じパラメータではアラインメントができなかった。ゲノムを分割するなどの方法を試したが、計算が終了しなかったため、これらを解析に用いるのは断念した。3つ目は本研究の着想のもととなった研究の遅れによるものである。論文化を目指して実験を行っていたが、地震による実験に用いる稚魚や成魚の死亡による遅れによって飼育スペースを圧迫しており、生体を用いた新たな実験を進められない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
四足動物特異的ゲノム配列の解析:まず6302個の非コード領域上のHCEs(CNEs)を対象として、四肢で働いている可能性が高い配列を選抜する。そのために既存のシークエンスデータ(ATAC-seq、DNase-seq)を用いる。また、GWASなどのヒトの疾患データとも照合し、解析に優先順位をつける。それが終了したら、生体を使ってそれらの機能を証明する実験を行う。 魚類特異的なゲノム配列の解析:まず非コード領域上にあるHCEs(CNEs)を特定する。これらの配列のうち、ヒレの発生中に働いている可能性が高い配列をシークエンスデータを用いて選抜する。
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