2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト誘導性肺前駆細胞を用いた組織工学的手法による肺の再生
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22KJ0187
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨山 史子 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 誘導性前駆細胞 / 部分的初期化 / mRNA / バイオリアクター / 血管内皮細胞 / 肺上皮細胞 / 脱細胞化 / 再細胞化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今までにマウス肺の再血管化の例がなかったため、まずマウス肺の脱細胞化・再血管化手法の確立を行った。マウス肺動脈・気管にカニュレーションして脱細胞化し、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を肺動脈から注入した。バイオリアクターを用いて還流培養を行ったところ、マウス肺血管内皮細胞数の半数である3000万個が最もよく生着していた。マウスを用いることで実験に必要な細胞数がラットの10分の1程度なることは利点と考えられた。 続いて山中因子を体細胞に一時的に導入し、多能性に至る前に止めることで、元の細胞の特性を備えたまま増殖する誘導性前駆細胞作成のプロトコル確立を行った。ゲノム挿入の危険性がない点・効率を考慮し、血管内皮細胞・肺上皮細胞それぞれにmRNAを用いた誘導を行った。 血管内皮細胞としてはHUVECを用いた。iPS細胞作成の半分・1/4・1/8の期間の初期化誘導を試したところ、半分の期間の誘導で血管内皮細胞の特徴を持ちながらも増殖する細胞が得られた。より短い期間の誘導では、細胞は幼若化すると考えられたものの増殖はしなかった。そこで増殖した細胞を誘導性血管内皮細胞となった可能性があると考え、作成したバイオリアクターを用いてマウス脱細胞化肺に注入し、再血管化した。一部の細胞に生着が認められ、免疫染色ではCD31に加えてSMAの発現が見られた。その細胞からは血管内皮細胞の他に壁細胞も分化している可能性が示された。今後は脱細胞化肺への生着能の改善が課題と考えており、使用する培地について検討を行っている。 上皮細胞の部分的初期化に関してはSAEC(ヒト小気道上皮細胞)に初期化因子のmRNAを導入した。血管内皮細胞と同様のトランスフェクションを行ったところ幹細胞様のコロニーが出現し、長期に継代することができた。特徴の検索とプロトコルの最適化は今後検討していく予定である。
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Remarks |
「マウス肺 x ヒト細胞」ハイブリッド人工肺の移植術に世界で初めて成功;移植可能なバイオ人工臓器作成に弾み(呼吸器外科学分野:鈴木助教)
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[Journal Article] Orthotopic transplantation of the bioengineered lung using a mouse-scale perfusion-based bioreactor and human primary endothelial cells.2024
Author(s)
Tomiyama F, Suzuki T, Watanabe T, Miyanaga J, Suzuki A, Ito T, Murai S, Suzuki Y, Niikawa H, Oishi H, Notsuda H, Watanabe Y, Hirama T, Onodera K, Togo T, Noda M, Waddell TK, Karoubi G, Okada Y.
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Journal Title
Scientific reports
Volume: 14
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] mRNAトランスフェクションによる誘導性ヒト血管内皮前駆細胞の作成2023
Author(s)
冨山史子, 鈴木隆哉, 鈴木有容, 村井翔, 宇井雅博, 小野寺賢,東郷威男, 渡邉龍秋, 渡辺有為, 野津田泰嗣, 平間崇, 大石久,新井川弘道, 野田雅史, 岡田克典
Organizer
第40回日本呼吸器外科学会学術集会
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