2021 Fiscal Year Annual Research Report
MnTe多形変態のひずみ制御およびそのストレイントロニクスデバイスへの展開
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21J21551
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
KIM MIHYEON 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | Manganese Telluride / polymorphic change / phase change materials / phase change memory / strain-induced / straintronics |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、MnTe多形体のひずみによる物性制御に取り組んでいる。本年度は、β-MnTeの電気伝導メカニズムを解明すると共に、β-MnTeの光照射による多形変化挙動を調査した。以下に得られた結果について述べる。 デバイス応用に向け、材料の電気特性への理解は必須であり、その中でもデバイスの低動作エネルギーを実現させるため、電気伝導メカニズムの解明は重要である。しかし、β-MnTeに関する研究はまだ少なく、β-MnTeの電気特性は不明な点が多い。そこで、β-MnTeにおける電気伝導メカニズムを調査し、β-MnTeの伝導機構は温度領域に依存していることを明らかにした。(論文掲載) β-MnTeからα-MnTeへの多形変化は、レーザーによる局所加熱により可能であることが光学反射率変化や透過電子顕微鏡観察から報告されている。本研究では、顕微レーザーラマン分光法を用いて、ウルツ鉱型構造のβ-MnTe薄膜およびNiAs型構造のα-MnTe薄膜の格子振動モードを観測し、ラマン分光スペクトルの変化からレーザー加熱によるMnTeの多形変化のその場観察を行った。β-MnTe薄膜にレーザー局所加熱を行いラマンスペクトルの変化を観測したところ、レーザー加熱によるその場観察からもウルツ鉱型構造からNiAs型構造への多形変化が生じることを確認した。(学会発表) 今後は、相安定性の観点から、第三元素の添加による多形変化温度の制御の研究を試みると共に、ひずみ制御による多形変化挙動を調査していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MnTe多形体のひずみ制御のためには、まだ報告されていないβ-MnTeの電気特性およびその場測定を通したβ-MnTeからα-MnTeへの相変化挙動の理解が重要である。昨年度はβ-MnTeの電気伝導機構を明らかにし、またその場顕微ラマン測定よりβ-MnTeからα-MnTeへの多形変態の観測ができた。現在は、MnTe多形におけるひずみ誘起多形変化を実現するために、第三元素Xの添加による相変化温度の制御を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
MnTe(Manganese Telluride)化合物は室温ではNiAs型六方晶構造(α-MnTe)の安定相を有し、高温ではウルツ鉱型の六方晶構造(β-MnTe)へ構造転移を示す多形体であり、本研究グループではこれらの多形変化により電気抵抗およびを光学バンドギャップが大きく変化し、またその不揮発性メモリ特性を有することを明らかにしてきた。また、この多形変態は原子のわずかな動きによるものであり、最近では多形変化に応力・ひずみが関わっていることがわかってきた。但し、β-MnTeからα-MnTeへの相変化温度は450℃と高く、室温におけるひずみ誘起多形変化の実現には相変化温度の低下が求められる。今後の研究推進方策として、第三元素Xを添加したMn-X-Teの多形変態コントロールに注目する。昨年度にはレーザー加熱によるβ-MnTeからα-MnTeへの多形変化挙動をその場ラマン測定より観測できた。この結果に照らし合わせて、第三元素Xを添加したMn-X-Teにおける多形変態もその場ラマン測定を行うことでその多形変化挙動の理解が深まると期待される。Mn-X-Teにおける多形変態挙動を電気抵抗の温度依存性を調べた上で、デバイスを作製し、そのひずみ制御可能性を検討する。
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