2023 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網における損傷修復性のin vitro解析とそのモデル化
Project/Area Number |
22KJ0190
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
住 拓磨 東北大学, 材料科学高等研究所, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 培養神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,培養神経回路に基づく新しい in vitro 実験系を構築し,損傷印加前後の神経活動パターンを自発活動および入力応答の観点から解析することによって,実神経細胞ネットワークの損傷耐性の発現メカニズムを明らかにすることを目的としている.1年目,2年目ででは,培養神経回路網の入出力測定を行うための培養神経リザバーシステムを構築し,時系列信号(発話数字データ)を分類するタスクにより神経回路の信号処理の特徴を調べた.その結果,培養神経リザバーシステムは,チャンスレベルより高い性能で時系列信号を分類でき,特に,神経回路が機能的にモジュラーな接続性を有するときに性能が高くなることが示された.この結果については,最終年度の4月に論文採択された.そして最終年度では,培養神経回路網に損傷を与えた際の,損傷修復特性を調べる実験に取り組んだ.培養神経回路を切断し,その修復過程について神経回路の機能的な結合を基に評価した結果,損傷印加直後では機能的結合性に混乱が生じるが,24時間後には元の結合性を回復させることが分かった.さらに,その損傷耐性の数理的な発現メカニズムを調べるために,神経可塑性を取り入れたモデルを構築し,各パラメータと損傷耐性の関係を調べた.これらを通じて,本研究では,培養神経回路の情報表現や情報処理について調べる新しいin vitro実験系を構築し,さらに損傷前後の応答について実細胞および数理モデルの観点から解析した.
|