2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21J22515
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 晟 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 超新星爆発 / 56Ni / 爆発のメカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
超新星爆発とは、恒星が一生の最期に大爆発を起こす現象のことである。これまでの観測によって、超新星爆発は明るさやスペクトルなどに多様性をもつことが知られている。超新星爆発の多様性は爆発前の恒星の性質を反映していると考えられている。しかし、どのような恒星がどのような超新星爆発になるかは未だに解明されていない。そこで本研究の目的は、超新星爆発の観測データの系統的調査を行いその多様性を調べ、恒星進化計算・輻射輸送計算の結果と比較することで、超新星爆発の多様性と恒星進化の多様性の対応関係を明らかにすることであった。 近年、超新星爆発のような突発天体に特化したサーベイによって、様々な超新星が発見されている。それらのサーベイによって通常の超新星の主たる放射エネルギー源である56Niでは明るさを説明することが難しい超高輝度超新星と呼ばれる非常に明るい天体が多数見つかっている。 今年度の研究では、まず通常の超新星と超高輝度超新星の観測データを系統的に解析した。その観測の結果から、それぞれの超新星爆発が合成した56Niの質量を見積もった。次に、様々な爆発前の星を用いて流体力学・元素合成計算を行うことで、合成される56Niの質量を計算した。これらの観測・計算の結果を比較することで、観測データを再現する爆発前の星の性質や爆発時の状況に制限をつけた。また本研究の結果から、通常の超新星であっても56Niによって明るさを説明することが難しい天体を複数発見した。 その結果をまとめた論文を学術雑誌に投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗がやや遅れているの理由は2点ある。 1点目は、研究計画を見誤っていたことである。 2021年度は主に、修士論文の内容を投稿論文にするためのデータ再解析・文章執筆を行っていた。修士論文の際には、修士論文の提出締切までに形にするためにデータ解析や文章執筆の細かい部分を後回しにしていた。詳細な部分を後回しにしたことによって、2021年度の始めにすでに1つのテーマの研究がほぼ最終段階まで達しているように錯覚していたが、実際はまだまだ行うべきことが数多くあった。その修士論文の修正を行うことに予想よりも時間がかかってしまったため、進捗がやや遅れることとなった。 2点目は、プログラミング・データ管理が上手くできていなかったことである。 本研究の律速段階となる部分はプログラミングであるのだが、私はそのプログラミングが上手くできていなかった。具体的には、1) プログラミングコードの書き方が効率的でなかったせいで計算に時間がかかっていたことと、2) プログラミングコードの書き方が乱雑で可読性が低かったことである。これらにより計算の待ち時間が長くなったり、コードの書き換えに時間がかかったりしていた。また、プログラミングのスクリプトのファイル自体やその出力データの管理が乱雑になっていたのも進捗を遅らせていた。データ構造が整理されていなかったため、目的のファイルを探し出すために膨大な時間をかけてしまっていた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を踏まえ、1)研究の進め方・計画の立て方の改善、2)プログラミング・データ管理の改善を行う。また、研究計画を少し変更する。 研究の進め方に関しては、まず修正が発生することを前提とし、後に行うことになる修正をしやすいようにデータ解析などを行う。また、できる限り修正箇所・修正回数が少なくなるように工夫して最初から研究を行う。これを踏まえた上で研究の計画を立てることで、2021年度よりも計画通りに研究が進むことが予想される。 プログラミング・データ管理の改善に関しては、現在様々な本を読んだり周りの人に聞いたりして改善中である。プログラムの書き方を改善した結果、以前に書いたプログラムで丸2日かかっていた計算が数時間で終わるようになった。また、可読性も改善されたため、プログラミングコードの修正にかかる時間が短くなっている。さらにデータ管理の際には、データの階層構造をゼロから考え直すことで、データが散らかりにくい構造を実現しつつある。それによって、必要なデータにアクセスするまでの時間が短縮された。 2022年度は引き続き以上のウィークポイントを改善し、研究をより能率的に進めていく。 また研究計画については、恒星進化計算は先行研究の計算結果を参考にすることとし、私自身は超新星爆発に主眼を置くことにした。その理由は以下のようである。 近年、急速な望遠鏡の発展によって超新星爆発の観測データが急激に増えつつある。そして以前にも増して多様な超新星爆発が見つかるようになった。そこで私は、様々な超新星の性質に注目し、超新星爆発前の星の状態の多様性を調べることとした。その結果を先行研究の恒星進化計算の結果と比較する。
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