2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ0199
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 晟 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 超新星 / 超新星爆発 / 超高輝度超新星 / スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、通常の超新星よりおよそ10-100倍明るい超高輝度超新星に関する研究を行った。発見から約20年経った今でも、超高輝度超新星の放射のエネルギーは解明されていない。超高輝度超新星の観測スペクトルには、特徴的な酸素の吸収線が見られることが知られている。この酸素の吸収線は高い励起状態からの束縛束縛遷移によって生まれているため、非熱的過程による励起が必要だと先行研究で考えられていた。しかし、どのような状況下で酸素の吸収線が生まれるかは知られていない。そこで本研究では、スペクトルの計算を行って観測スペクトルをモデル化することで、酸素の吸収線を生み出すための条件を調べた。その結果、先行研究の予想に反し、酸素の吸収線は熱的過程によって生まれることが判明した。このことは、超高輝度超新星のエネルギー源によって生まれる非熱的過程は、スペクトルの特徴に影響を与えるほどではないことを示している。本研究では、この事実を用いることで、スペクトルの特徴から超高輝度超新星のエネルギー源に制限をつける方法を示した。この内容をまとめた論文はThe Astrophysical Journal(ApJ)に投稿済みである(2024年4月受理)。 研究期間全体では上記の研究以外に、通常の超新星の主たるエネルギー源である56Niを用いて爆発のメカニズムを制限する研究も行った。56Niの合成量と超新星の光度には相関があるため、超新星の光度から56Niの合成量を見積もることができる。また、爆発のタイムスケールが短いほど多くの56Niが合成されることが理論計算によって知られている。本研究では、観測された超新星の光度から超新星が合成した56Niの量を推定し、さらに理論計算を行うことで56Niの合成量を見積もった。これらを比較することで爆発のタイムスケールに制限をつけた。この結果をまとめた論文はApJに掲載されている。
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