2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J01195
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山野 雄平 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 光反応 / 光触媒 / 光修飾反応 / ロタキサン / 核酸 / 人工核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らがこれまでに開発してきた相補塩基をフリップアウトさせる人工核酸塩基モチーフを利用し、1.特定のグアニン塩基を選択的に光酸化・修飾できる人工核酸と、2.光で可逆的にロタキサン様構造を形成する人工核酸を開発することを目指した。1.本年度は、光触媒を導入したフリップアウト誘起塩基を設計し、これらを含むプローブDNA配列を合成した。ラベル化試薬存在下、プローブDNAと相補鎖(標的配列)の二重鎖に対して455nmまたは505 nmの光を照射することで、標的配列中のフリップアウトされたグアニンがラベル化試薬で修飾されるかを検証した。照射後のサンプルを変性PAGEで解析した結果、(EosinやRu錯体を光触媒に用いた場合には)修飾された標的配列に対応するバンドが観察され、本設計を利用した核酸の酸化・ラベル化が可能であることが示唆された。しかしながら、標的配列のフリップアウト位置の塩基をグアニンからシトシンなどに変えた場合にも同様の光修飾反応が観測された。つまり、酸化・修飾反応はフリップアウトされた塩基で選択的に起きているわけではなく、位置選択性に課題があることが明らかとなった。2.ロタキサン様構造の構築を目指し、PEGリンカーを介してスチリルピレンを二分子導入した光架橋型フリップアウト誘起塩基を設計・合成し、DNA配列中に導入した。この修飾DNAに455 nmの光を照射するとスチリルピレンが二量化(すなわち修飾DNAが環状化)することが、吸収スペクトルなどの結果から示唆された。しかし、(ロタキサン様構造の軸となる)相補鎖と二重鎖形成させた状態で修飾DNAに光を照射した場合には架橋反応はほぼ起こらず、効率的にロタキサン様構造を形成させるためには設計の改良(光架橋性分子やリンカー長の検討)が必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、申請者らがこれまでに開発した相補塩基をフリップアウトさせる人工核酸塩基モチーフを利用し、1.特定のグアニン塩基を選択的に光酸化・修飾できる人工核酸と、2.光で可逆的にロタキサン様構造を形成する人工核酸を開発することを目指している。1.に関しては、2022年度に予定していた研究計画をほぼ完遂することができ、本設計を用いれば核酸を十分に酸化・修飾できることが示唆された。しかしながら、標的以外の配列でも光修飾反応がある程度進行してしまうことがわかった。位置選択性の向上が今後の課題であると考えている。2.に関しては、光応答性分子の光二量化反応を利用することでロタキサン形成に必要な環状構造を持つ人工核酸を合成できたが、(ロタキサン様構造の軸となる)相補鎖と二重鎖形成させた状態では光照射による環状化はほぼ起きず、ロタキサン様構造の効率的な形成には、設計の大幅な改変が必要であるとわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.特定のグアニン塩基を選択的に光酸化・修飾できる人工核酸に関しては、光触媒とラベル化試薬のスクリーニングとフリップアウト誘起塩基の構造改変を行うことで、フリップアウトされた塩基を選択的に酸化修飾できるかを検証する。2.光で可逆的にロタキサン様構造を形成する人工核酸に関しては、光架橋性分子やリンカー長を検討することで、二重鎖を形成した状態で、光による可逆的なロタキサン様構造の形成が可能かを検証する。
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Research Products
(8 results)