2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the neural mechanisms of smooth communication in Bengalese finch
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22J10483
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河路 琢図 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 鳴禽類 / コミュニケーション / AreaX |
Outline of Annual Research Achievements |
鳴禽類は音素を複雑に組み合わせた音声シーケンスによってコミュニケーションを取るため、言語認識のモデル動物とされている。中でもジュウシマツのさえずりには単一音素の反復や異なる音素の組み合わせが複雑に混在する。このさえずり中の音素構造が意味伝達を担っているかどうかについて明確な根拠を示す研究はない。 本研究ではジュウシマツは状況に応じて意図的にさえずりの音素順序選択を行っていることを仮説として提唱し、その神経メカニズムを明らかにすることを目的とした。 コミュニケーションとしてのさえずりの役割に干渉するため、条件付けの報酬に同種個体の動画提示を用いた。すなわち、特定の語句を含むさえずりを発した場合にのみ、オスのジュウシマツが単独飼育されているケージに向けられたモニター上に同種個体が表示される。 この社会的報酬を与える実験系によって、まずさえずりの中の音素の反復回数を意図的に制御できることが示された。 動画提示報酬によるさえずり内容の変化は、大脳基底核AreaXのイボテン酸による神経細胞破壊により消失した。つまり、AreaX投射ニューロンの発火は音素反復回数と関連することが分かった。 次に、異なる音素の組み合わせを報酬と結び付けたところ、学習のしやすい語句群としにくい語句群とに分かれた。実験中に取得したさえずりのテキストコーパスを利用した形態素分割によって、これらの分類は語句の類似度によって評価できることが分かった。なお形態素分割後の語彙は、Zipf-Mandelbrotの法則にのった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮説としていた、状況に応じた意図的なさえずり内容の変化を観測することが出来た。また、AreaXの損傷実験により、そのメカニズムについて迫りつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
大脳基底核のさえずり内容への関与を決定づけるため、AreaXへPBSを投与する実験を行う。PBSは神経細胞を破壊しないため、この実験とイボテン酸投与実験との比較により、細胞の破壊の影響と、手術そのものの影響を切り分けることが出来る。 また、周囲の状況に応じたさえずり内容の変化について、さえずりテキストのtransformerモデルを構築することを試みる。これによって周囲の状況の説明に、さえずりの中のどの位置にあるどの形態素が重要であるのかが分かる。
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