2022 Fiscal Year Annual Research Report
α/2-調和写像から定まる部分多様体上の不連続なマルチンゲールに関する研究
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22J11051
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
岡嵜 郁也 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 確率解析 / リーマン多様体 / Dirichlet形式 / ジャンプ過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 非局所的なディリクレ形式に対して定義された多様体に値を取る調和写像の, 多様体上の不連続なマルチンゲールを用いた特徴づけを与えた. 特に分数冪ラプラシアンに関する調和写像は対称安定過程を部分多様体上のマルチンゲールに写す写像として特徴づけることができるため, これらの調和写像を確率論的に研究するための基礎になると考えられる. 2. 正の時刻で定義された多様体上の不連続なマルチンゲールが時刻を0に戻したときに収束するための必要十分条件を与えた. 3. 調和写像のユークリッド位相に関する連続性とマルコフ過程の道に沿った連続性のギャップについて研究した. 一般に調和写像の弱解を対象にした場合, こ れら二つの連続性は一致しない. しかしラプラシアンに関するエネルギー最小写像に対しては, 集合の尖細性を容量により特徴づけるWienerの判定条件を応用することで, 両者が一致することが示される. また分数冪ラプラシアンに関するエネルギー最小写像に対しては, 反射対称安定過程に付随するディリクレ形式を用いた評価により同様の同値性を示した. これにより分数冪ラプラシアンに関するエネルギー最小写像の連続性を, マルチンゲール及びその2次変動の時刻0付近における収束性により解釈することができる. 4. ジャンプが埋め込みにより与えられる部分多様体上のマルチンゲールを正規直交枠束上の確率微分方程式を通して構成する手法を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度の計画であった非局所的なディリクレ形式に関する調和写像の確率論的な特徴づけについては達成された. また令和5年度の特異点に関する研究ではマルコフ過程に関する細位相に関する特異点と通常の距離から定まる位相に関する特異点の間の関係が明らかになった. 一方で調和写像の特異点のより詳細な性質を調べるためには, 特異点の性質に関する重要な条件であるエネルギー最小性や定常性と確率過程とのより直接的な関係を調べつ必要があると考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
調和写像に対応する多様体上の不連続なマルチンゲールの微分について考察する. 調和写像が可微分な場合にはマルコフ過程の初期値について滑らかにパラメータ付けされたマルチンゲールの族が得られる. その微分は接束上の確率過程として得られるが, それが適当な意味で接束上のマルチンゲールになっているかどうかを調べる.
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