2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物の有用二次代謝産物生産を活性化する分子技術の開発と展開
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22J11238
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 里菜 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 植物ホルモン / ジャスモン酸 / 二次代謝産物 / 作用機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ホルモンであるジャスモン酸イソロイシンは、植物由来の二次代謝産物の生合成を活性化する一方で、副作用としてその植物の生長を阻害することが知られている。それに対し、本研究で着目している分子 ジャスモン酸イソロイシンラクトンはトマトにおいて生長阻害を引き起こすことなく、二次代謝産物トマチンの生合成を活性化することが明らかにされている。本研究では、ジャスモン酸イソロイシンラクトンの作用機構について調べ、それに基づいた二次代謝産物生合成活性化能力の実践的活用法の開発を行っている。初年度は、ジャスモン酸イソロイシンラクトンの作用機構の解明に向けて、転写因子や受容体を欠損した変異体を用いた生物活性試験・遺伝子発現解析を実施した。その結果、ジャスモン酸イソロイシンラクトンのトマチン生合成の活性発現に関わる受容体および転写因子を明らかにすることができた。これにより、ジャスモン酸イソロイシンラクトンは選択的に下流の転写因子を活性化するために、トマトの植物体において生長阻害を引き起こすことなくトマチンの生合成を活性化することが明らかになった。また、ジャスモン酸イソロイシンラクトンが他の二次代謝産物生合成に関わるかについて調べるために、メタボローム解析を実施した。現在、データ解析を行い、他の二次代謝産物についての蓄積量を調べている。さらに、次年度は変異体を用いてRNA-seqを行い、ジャスモン酸イソロイシンラクトンが活性化する遺伝子群について網羅的な解析を行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、ジャスモン酸イソロイシンラクトンの作用機構の解明に向けて、転写因子や受容体を欠損した変異体を用いた生物活性試験・遺伝子発現解析を実施した。その結果、ジャスモン酸イソロイシンラクトンのトマチン生合成の活性発現に関わる受容体および転写因子を明らかにすることができた。 また、ジャスモン酸イソロイシンラクトンが他の二次代謝産物生合成に関わるかについて調べるために、メタボローム解析を実施した。現在、データ解析を行い、他の二次代謝産物についての蓄積量を調べている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は変異体を用いてRNA-seqを行い、ジャスモン酸イソロイシンラクトンが活性化する遺伝子群について網羅的な解析を行なっていく予定である。 さらに、ジャスモン酸イソロイシンラクトンの活性本体について生合成遺伝子の探索を行い、この分子の持つ二次代謝産物生合成活性化能力の実践的活用法を模索していく予定である。
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