2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development and systematization of highly-oriented layered chalcogenide piezoelectric thin films for batter-less IoT sensors
Project/Area Number |
22KJ0244
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
王 吟麗 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 半導体薄膜 / ピエゾ抵抗効果 / 圧力センサ / 機構解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スパッタリング成膜を用いて高性能な層状カルコゲナイド系薄膜を創成し,独自の力学・電気特性測定システムを構築して,Cr-Ge-Te系薄膜におけるピエゾ抵抗効果を評価した.その結果,アモルファスCr-Ge-Te薄膜のゲージ率(ピエゾ抵抗効果の性能を表す定数)は60000以上であり,一般的な半導体よりも2オーダ以上高い巨大なピエゾ抵抗効果を示すことを世界に先駆けて発見した.CrGTアモルファス相は他の相変化材料と比べてユニークな性質(低電気抵抗や高耐熱性)を示すが,これはCrクラスタがアモルファス相中に内在する事に起因することを突き止めた.このため,応力(ひずみ)負荷・除荷による金属クラスタの崩壊・再生により巨大ピエゾ抵抗が発現するのではないかと仮説を立てた.このことを実証してメカニズムを解明するため,薄膜を引張ながら各種電気特性評価が可能な機械-電気評価システムを構築し,引張負荷下においてXRD,ラマン分光,XAFS,顕微鏡表面観察などの評価を行い,力学場による半導体薄膜の局所結晶構造変化と形態変化を評価した.変形下XAFS測定によりCr近傍原子との配位数および原子間距離を分析した結果,当初の予測とは異なり,Crクラスタ等の局所結晶構造変化が巨大抵抗変化に及ぼす影響は小さいことを明らかにした.一方,変形下表面観察により,引張負荷によるき裂の発生と進展が巨大抵抗変化の主要因であることを解明した.従来は機能材料におけるき裂の発生や進展は機能を阻害するものと考えられていた.本結果は,き裂の発生と進展を利用することによって,既往の材料の限界を超えた巨大な抵抗変化が実現できることを示した.すなわち,き裂発生・進展という力学現象を利用することで,機械-電気マルチフィジックス特性を劇的に向上できることを示した.
|
Research Products
(6 results)