2023 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ポリマ型TSPによる回転翼ブレード表面の非定常流れ場評価手法の創出
Project/Area Number |
22KJ0251
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊神 翼 東北大学, 流体科学研究所, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 感温塗料 / 低速流れ / 低レイノルズ数 / 回転翼 / 前縁剥離渦 |
Outline of Annual Research Achievements |
感温塗料(TSP)を用いて運動する物体周りの非定常流体現象を計測する新手法を確立し,回転翼ブレードの表 面流れ場の解明することを目指し研究を実施した.本研究課題では,まず導電性を有するカーボンナノチューブ(CNT)の薄膜加熱層とTSPを組み合わせた流体計測技術であるカーボンナノチューブ感温塗料(cntTSP)に着目し,その開発および評価を行なった.具体的には,低速流れでの非定常計測を想定したcntTSP塗料を開発し,それ対してその周波数特性を定量的に評価する手法を構築し,風洞試験において評価を実施した.さらにその評価手法に基づいて1次元非定常熱伝導数値モデルを構築し,周波数特性を改善する方法について議論した.これらの成果は,cntTSP計測の定量的な周波数特性を把握する手法を確立し,それが向上する指針を得ており,非定常cntTSP計測を行うために重要な知見となる. 次に,cntTSPを回転翼ブレード上の流れ場計測に用いることで開発したcntTSPの有用性を実証した.特に,ブレードピッチ角が大きい場合に生じる前縁剥離渦について着目し,その流れ場について議論した.cntTSPの可視化結果からは,ブレード全体に前縁剥離渦に対応した温度分布が形成されていることを明らかにした.さらに,cntTSP計測で取得した時系列温度場データから表面摩擦を算出し,前縁剥離渦によって生じる高摩擦領域を可視化することに成功した.この結果から,前縁剥離渦の分布を定量的に議論することができ,ブレード平面形と前縁剥離渦の分布,ロータの空力特性との関係性を明らかにすることができた.今後,特に低レイノルズ数流れを飛行する小型航空機では,前縁剥離渦を積極的に利用し高効率に飛行する設計指針の機体の開発が盛んになることが予想される.その中で,本研究課題で確立した流体計測手法が活用されることが期待できる.
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Research Products
(7 results)