2022 Fiscal Year Annual Research Report
25-ヒドロキシコレステロールによるSTING経路の抑制機構の解明
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22J13350
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 花乃子 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ゴルジ体 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではコレステロール-25-ヒドロキシラーゼ(CH25H)及び25-ヒドロキシコレステロール(25-HC)がSTING経路を抑制する分子メカニズムを明らかにし、STING経路の活性化を制御する新たな創薬標的を提案することを目指してきた。本年度、25-HCがSTING経路の活性化を抑制する分子機構について新たな知見を得た。25-HCはLXRやinsig/scap/SREBP, OSBPなど多くのコレステロール関連因子に作用することが知られている。その中からOSBPに着目し、OSBP及びORP4の阻害剤であるOSW-1を用いて実験を行った。OSBPが25-HCと結合すると、小胞体からゴルジ体へのコレステロール輸送を阻害されることが報告されている。そこで、OSW-1を含む培地で細胞を培養し、STINGアゴニストでSTING経路を活性化させた際のSTING及びIRF3のリン酸化をWBで評価した。その結果、OSW-1処理を行うとSTING及びIRF3のリン酸化が顕著に抑制されることを明らかにした。さらに、25-HCと同様にOSW-1処理時においてもSTINGアゴニスト依存的なSTINGの局在変化が観察された。これらの結果から、小胞体からゴルジ体へのコレステロール輸送を阻害するとSTING経路の活性化が抑制されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25-HCがOSBP結合することでSTING経路の活性化を抑制している可能性が高いことを明らかにすることができたためである。マウス胎児線維芽細胞 (MEF) を用いてOSW-1処理を行ったのち、STINGアゴニストで刺激してSTINGおよびIRF3のリン酸化を評価した。その結果、OSW-1処理を行うとSTINGおよびIRF3のリン酸化が顕著に抑制された。さらに、25-HCと同様にOSW-1処理時においてもSTINGアゴニスト依存的なSTINGの局在変化が見られるのか、共焦点顕微鏡を用いて検討を行った。その結果、OSW-1処理を行った場合においてもSTINGアゴニスト依存的な局在変化が観察された。これらの結果から、25-HCはOSBPに結合しゴルジ体上のコレステロール輸送が阻害されることによって、STING経路の活性化が負に制御される可能性があることが強く示唆された。以上の研究成果は国際誌に発表予定であり、期待以上の研究の進展があったと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、ゴルジ体のコレステロール輸送を阻害するとSTING経路の活性化が抑制されることが明らかになっている。今後は、25-HCがゴルジ体のコレステロール量を負に制御することによってSTINGの活性化を抑制しているか検討を行う。具体的には、研究代表者が構築したSTINGの活性化を評価するin vitro再構成系を用いて、25-HC処理をした膜画分にコレステロールを添加した際に、25-HC未処理の膜画分と同程度までSTINGの活性化が回復するか検討を行う。こちらに関して既に予備検討を行っており、25-HC処理をした膜画分にコレステロールの添加するとSTINGの活性化が回復したことから、25-HCはゴルジ体のコレステロール量の低下に起因することを見出している。引き続き、OSW-1処理を行った膜画分においても同様の結果が得られるのか検討を進めていく予定である。
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