2022 Fiscal Year Annual Research Report
動的コヒーレントX線回折イメージングによるメソスケール粘弾性の可視化
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22J21828
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高澤 駿太郎 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | コヒーレントX線回折イメージング / X線光子相関分光法 / 単一粒子追跡法 / データクラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「三角形開口を用いたコヒーレントX線回折イメージング」による動的イメージングの実証実験のため、(1)金コロイド粒子が分散した溶液試料の作製、(2)溶液封入セルの作製、(3)放射光X線を用いた試料からの回折パターンの測定と解析を行った。具体的には、現状、本手法が対象としている視野(1辺5 umの三角形領域)に、複数のφ150 nm金コロイド粒子が数秒以上とどまって運動する動粘度のポリビニルアルコール水溶液を調製した。放射光実験では、この試料を真空チャンバー内に配置する必要があった。そのため、硬X線が極めてよく透過するカプトン窓を有し、約1 Paの圧力に耐える溶液封入セルを作製した。放射光施設SPring-8 BL29 XULでCXDI実験を行い、1枚当たり0.1または1秒の露光時間で回折パターンを連続撮像した。収集した露光時間1秒の回折パターンに対して反復的位相回復計算を実行した結果、複数粒子が視野内で運動している様子を捉えられ、動的イメージングの実証に成功した。動的イメージングの実証に加えて、粒子の運動性の解析に取り組んだ。X線光子相関分光法を露光時間0.1秒の回折パターンに対して適用したところ。1秒以下の時間スケールにおいて、粒子運動の振る舞いはブラウン運動と同等であることが示された。また、単一粒子追跡法を動画データに適用して取得した複数の粒子軌跡を混合ガウスモデルに基づきクラスタリングしたところ、数秒から数十秒の時間スケールでは、粒子は2つの運動モードを有していることが示された。 上記に加え、次年度で計画していた二次元検出器CITIUSを用いた計測システムの整備も一部進めた。CITIUSを搭載したCXDI光学系を構築し、利用するX線強度の範囲内で強度線形性があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、動的試料のCXDI実験を行い、動的イメージングの実証に成功した。加えて、粒子の運動性についての解析にも取り組んだ。また、次年度に計画していた二次元検出器CITIUSの計測システムの整備として、光学系の構築、検出器の性能評価、検出器制御プログラムの開発を進めた。以上より、当初の計画以上に本研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
CITIUS検出器の計測システム整備を引き続き行う。具体的には、連続撮像する回折パターンの露光時間の設定や取得データの測定条件に関するラベル付けなど、検出器制御プログラムの開発を行う。また、光学系の改良も行う。現状利用している光学素子の変更、光学配置の調整を行うことで、試料に照明されるX線強度の向上を図る。その後、本光学系による時空間分解能評価のための試料作製、放射光実験を実施する。
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