2022 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム酸素電池実用化に向けたカソード極反応機構解明への挑戦
Project/Area Number |
22J21969
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神成 幸輝 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 電池 / 界面 / 支持塩濃度 / グラフェン / 反応機構解明 / 分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代二次電池の一つであるリチウム空気電池について、カソード極上の反応機構を分子レベルで解明することを目指し、それにより研究開発に新たな指針を与えることを期待している。電池の電極反応は複雑な系となっており、理解が不十分であるため、電極界面の反応に関する基礎的な研究が必要と考えている。 採用一年目においては、既に確立している金電極と分光法の組み合わせ、特にその場表面増強ラマン散乱によって反応生成物を追跡することで知見を得ようと試みた。特に近年広く注目されている電解液の支持塩高濃度化について、特殊な溶媒和構造や電極吸着物に関する利点や界面構造に関して新たな知見を得ることができた。その内容について学会発表を通して他研究者と意見交換もしており、論文執筆の段階にある。 一方で研究の中核を担う炭素電極の利用については進捗が順調とは言えない。実用的な系における反応機構を調べることが本研究の大きな課題であり、炭素電極上での反応の追跡のための新技術を中国の厦門大学にて勉強する計画を立てていた。しかしながら、コロナウイルス感染拡大の影響やロシア-ウクライナ間の戦争による不安定な情勢から、中国への渡航ができなかった。そのため、当初計画していた新技術を活用した測定手法の確立が完了していない。課題が残る一方で、代替案を考案し研究を進めることはできている。炭素電極のモデルとして単層グラフェンを合成し、これと金電極を組み合わせることで実用的な系の一種のモデルケースを構築し反応機構について情報を得ることができた。まだ内容をまとめる段階ではないが、炭素上の生成物や中間体のふるまいについて新たな知見が得られる見込みがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採用一年目の研究内容としては概ね順調に進んでおり、特に電解液の支持塩高濃度化については論文にまとめる段階まで来ている。 しかし、新規測定手法の確立については進んでいない。当初の計画では中国の厦門大学に訪問して新技術を勉強し、その技術を自らの測定手法に組み込むことで、今まで未解明だっリチウム空気電池の炭素電極上の反応機構を調べる予定だった。しかし、コロナウイルス感染拡大などの影響によって、中国渡航が叶わず新技術の取得ができていないため二年目以降の計画が難航しそうであるため、進捗はやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
採用一年目に計画していた新技術の取得ができていないため、現地の大学と連絡を取りながら、渡航できそうな時期を見極めてできるだけ早く訪問する予定である。また、最終的に渡航がかなり遅れる場合や渡航できない場合も考慮して代替案を用いた研究も既に始めている。渡航が実現するまでは代替案を用いて炭素電極上の様子を探っていく予定である。また、所属している国際共同大学院プログラムの関係でアメリカ留学をしているので、現地の研究室で学んだことも本研究に生かしたいと考えている。 状況に合わせて柔軟に対応したいと考えている。
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Research Products
(2 results)