2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating evolution of Martian atmosphere and production of prebiotic molecules using an atmospheric photochemistry model
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22J22477
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 俊吾 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 火星 / ホルムアルデヒド / 生命起源 / ハビタビリティ / リボース |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星における生命存在可能性(ハビタビリティ)を明らかにするためには、初期の火星環境における生命の材料物質になり得る物質の存在量を調べることが重要である。特にホルムアルデヒド(H2CO)は、私たちの体を構成するアミノ酸や糖の材料物質となる有機分子である。そのため、初期火星環境におけるホルムアルデヒドの生成量を見積もることは、火星における生命の存在可能性を解明するための重要なステップである。2022年度では、主に過去の火星大気におけるホルムアルデヒド生成量に関するシミュレーション研究を実施した。過去30-40億年前の現在の火星大気より厚い大気を仮定し、大気中の水素と一酸化炭素を想定され得る範囲で変動させ、どのように大気中のホルムアルデヒドの生成量が変化するか詳細に調べた。その後、推定されたホルムアルデヒド生成量から過去火星の海の中におけるリボースの生成量を見積もった。 結果として、大気中の水素の増加に伴いホルムアルデヒドの生成量も増加することを明らかにした。また、水素の量によって、ホルムアルデヒド生成量の一酸化炭素の増減に対する振る舞いが変わることが分かった。推定されたホルムアルデヒド生成量から過去の火星の海において、生命の誕生に重要な物質であるリボースが一定量生成される可能性を示した。さらに、次年度に実施予定である三次元大気循環モデルとの結合に向けて、大気中の水蒸気量に対するホルムアルデヒド生成量の応答も調べた。水蒸気の増加に伴い、ホルムアルデヒドの生成量も増加することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生命関連分子の一つであるホルムアルデヒドの初期火星における生成量を見積もることはできたため。 また、次のステップである炭素同位体を組み込む見通しは立っているので、順調に研究を遂行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の二つの課題に取り組み予定である。まず一つ目は、炭素同位体を光化学モデルに組み込み、太陽紫外線の光解離によるホルムアルデヒド中の同位体分別への影響を評価することである。これによって、地表面に残された堆積物中の炭素同位体比と比較検証することが可能となる。 二目目は、大気大循環モデルと組み合わせ、全球のホルムアルデヒド堆積量分布を推定することである。全球分布を見積もることができれば、将来の探査ミッションの着陸候補地の選定に役立つことが期待される。
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Research Products
(4 results)