2023 Fiscal Year Research-status Report
筋筋膜経線の視座から切り拓く四脚ロボットの超効率的全身自由度協調運動の実現
Project/Area Number |
22KJ0320
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 祥英 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 四脚ロボット / 筋筋膜経線 / 筋骨格 / 柔軟背骨 / 大自由度 / 高速走行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地上最速の動物であるチーターの全身の筋骨格構造および走行時の動作に基づく,四脚ロボットの機動性を飛躍的に向上する機構-制御系の提案を目的としている.前年度は,主に2つの取り組みを行った.まず,チーターが走行中に大きな推進力を発生させるメカニズムとして背骨の変形形状に着目した.四脚動物はgallop走行中に背中を丸めた腹屈状態をとり,背中の組織に弾性エネルギーを蓄積することが知られている.しかしながら,チーターの腹屈姿勢では,背骨の前方が一部背屈したS字形状になることが動画等から観察される.そこで,この形状の違いが,チーターの走行時の推進力の向上に寄与していると仮説を立てた.仮説検証のために,背側の筋と腹側の筋に相当する張力材により背骨をS字形状に屈曲変形させた後に開放することで,急速な伸展による跳躍動作を行うロボット実機を開発し,検証を行った.実験の結果,後脚による水平跳躍距離は,屈曲形状がS字であった場合,C字であった場合と比較し2倍以上の増加及び跳躍効率の向上を確認した.この成果をAMAM2023にて発表した. 次に,チーターが後脚のみならず、前脚の跳躍力をも増幅可能となるように提案メカニズムを拡張するため,背骨の初期形状に着目した.申請者のこれまでの研究では直線形状の背骨をアクチュエータにより変形させることでS字変形を実現していたが,構造や動作の複雑さが課題であった。複数のプロトタイプ製作による試行錯誤を通して,背骨をあらかじめS字に変形させておくことで,より単純な変形動作にも関わらず,前後いずれの脚でも跳躍力の増幅が可能であることを発見した.発見に基づき構築したモデルの有効性を検証するため,S字形状の背骨を有するロボット実機および実験系を構築し,走行実験による評価を行った.以上の実験結果は,CLAWAR2024で発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,前年度に提案した出力増幅メカニズムの洗練および拡張を達成した.前年度に提案したメカニズムは,gallop走行サイクルの二度の接地タイミングのうち,後脚接地時のみ有効であった.今年度は,メカニズムの構成要素である柔軟背骨の初期形状を直線からS字に変更することによって,前脚接地時でも機能するように拡張することに成功した.さらに,この拡張は,新たなアクチュエータの追加を必要とせず,シンプルな動作シーケンスで達成された.これにより,実際のチーターが行う二度の遊脚期を有するgallop走行における提案メカニズムの検証実験に進む目途が立った.これらの結果を鑑みて,研究は順調に進展したと評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,前年度に構築したS字形状の背骨を有する体幹駆動モデルを拡張し,実際のチーターが行う二度の遊脚期を有するgallop走行を再現し,提案メカニズムの検証を実施する.具体的には,これまでに開発した体幹部の出力増幅機構の出力を効果的に地面に伝達する脚部機構を開発するとともに,体幹部の自由度と脚部の自由度の協調を果たす感覚情報に基づいたタイミング制御系の構築を行う.これらの機構-制御系を有するロボット実験系により,gallop走行における提案モデルの有効性を,フルード数及びCoT等の評価によって行う.以上の研究によって得られた成果をまとめ,ジャーナルへの投稿及び国内外での学会での発表を行う.
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Causes of Carryover |
実験用ロボットの仕様変更のため.
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