2022 Fiscal Year Annual Research Report
積層造形法を活用した炭素強制固溶による超微細Ti基複合材料の創製
Project/Area Number |
22J23081
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
DONG MINGQI 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | チタン合金 / 複合材料 / レーザ三次元粉末積層造形法 / 酸化グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はチタン中に炭素の強制固溶を実現するため、計画通りに①GO/Ti複合粉末の作製、②GOが粉末特性及び③積層造形に与える影響、④炭素強制固溶した緻密なTi造形体の作製を行った。 ①ヘテロ凝集法及び凍結乾燥によるGOをTi-6Al-4V合金粉末表面に付着させ、最大2 mass% GOの添加が成功した。得られた複合粉末をSEMで観察したところ、シート状のGOが凝集することなく、Ti粉末表面に均一に付着することが分かった。 ②複合粉末の粒度分布、流動性、レーザ吸収率及び熱伝導率などの特性の評価を行った。GOは極めて薄いシート状であるため、複合粉末はTi粉末と比べ、粒度分布はほとんど変わらなかった。粉末流動性を崩落角による評価したところ、GOを添加した粉末はより低い崩落角を示した。L-PBFにおける粉末床を光学顕微鏡で観察したところ、GOを添加した複合粉末はより均一な粉末床が観察された。また、GOは高いレーザ吸収率を持つため、複合粉末はより高いレーザ吸収率を示した。また、Ti粉末と比べ、複合粉末は低い熱伝導率を示した。これら粉末特性の変化は、いずれにしてもL-PBFに有益であると考えられるため、GOの添加はTi粉末特性に良い影響を与えることが分かった。 ③GOを添加した複合粉末を用いて、異なるパラメータで積層造形を行った。造形体を密度測定及び断面観察による評価したところ、相対密度>99.5%を持つ緻密な造形体が作製された。GOの添加によりTi粉末の緻密な造形体ができる最適造形パラメータゾーンが拡張されたことが分かった。 ④得られた造形体に対して、相同定及び組織観察で分析を行った。GOは残ることなく、C元素として分解されてTiマトリックス中に均一に分布していたことが分かった。造形体中の炭素量はTi中に炭素固溶限の数倍になったため、炭素強制固溶したTi造形体の作製が成功したと確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は、本年度は①酸化グラフェン/チタン複合粉末を作製し造形を行い、炭素強制固溶したチタン造形体の作製、及び②酸化グラフェンが複合粉末の粉末特性及び造形体の微細組織への影響を調べることであった。 ①ヘテロ凝集法を用いて複合粉末の作製を成功し、さらに炭素強制固溶したチタン合金の造形もできた。②また、複合粉末の粉末特性を調べ、それと造形条件及び造形体密度の関係性を考察した。上記の結果を学会で講演を行い、論文にも纏めて発表した。 従って、本年度はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に作製できた炭素強制固溶したチタン合金を用いて、チタンマトリックス中にTiC粒子を析出させることを挑戦する。 チタン中に固溶した炭素は、熱的に不安定であると考えられるため、熱処理によるTiC粒子として析出させることを行う。温度、保温時間などの熱処理条件を組み合わせることで、TiC粒子のサイズ、形態及び分布状況を制御し、その析出メカニズムを解明する。
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