2023 Fiscal Year Research-status Report
積層造形法を活用した炭素強制固溶による超微細Ti基複合材料の創製
Project/Area Number |
22KJ0322
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
DONG MINGQI 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | チタン合金 / 複合材料 / レーザ三次元粉末積層造形法 / 強制固溶体 / 熱処理 / 酸化グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はチタン中に炭素の強制固溶を成功したため、今年度は計画通りに炭素強制固溶が①造形体微細組織及び機械的性質に与える影響の調べ、②熱処理によるTiC粒子の析出可能性の確認、③TiC粒子のサイズ、形態及び分布の調べを行った。 ①昨年度に得られた炭素強制固溶したチタン造形体を用いて、微細組織の観察及び機械的性質の評価を行った。炭素添加された造形体はチタン合金造形体と同様にラス状のマルテンサイト組織で構成されていたが、ラス厚さが明らかに小さくなったことから、炭素強制固溶が強い結晶粒微細化効果を示したと推測される。また、引張試験による機械的性質の評価では、炭素添加された造形体が高い引張強度を示し、炭素添加量を調整することで引張強度と延性のバランスを制御することが成功した。 ②炭素強制固溶されたチタン合金を用いて、低温からβ相転換温度までの各温度で熱処理を施し、組織観察を行った。低温では炭化物の析出は観察されず、炭素の分布にも明らかな変化が見られなかったが、高温領域ではTiC粒子が大量に分布していたことが観察された。これにより、炭素強制固溶体からTiC粒子が析出する可能性を確認した。 ③析出したTiC粒子を観察した結果、ほとんどの粒子は棒状であり、そのサイズはナノからサブマイクロンまで様々であることが分かった。TiC粒子はTiマトリックスのαとβ相間の粒界に分布していたことから、その析出はマットリックスの相変態に伴う炭素の偏析によって起こされるだと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、炭素強制固溶されたチタン合金を使用して、熱処理によるTiC粒子を析出させることで、高強度且つ高延性のチタン基材料の開発を目的とするが、炭素添加したチタン合金の機械的性質を評価したところ、当初の目標値に近い引張強度と延性が得られた。更に、炭素添加量の調整による強度と延性を制御ができることが分かった。このため、造形体でも目標値に達成する可能性が高いと考えられる。また、適当な熱処理によるTiC粒子の析出挙動及びマトリックスの微細組織を制御することで、当初の目標を上回るチタン材料を得る可能性が高いと考えられる。 従って、本年度は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素添加量及び熱処理条件の制御による、TiC粒子の析出挙動の解明及びマトリックスの微細組織を制御することに挑戦する。得られた複合材料に対して、引張試験などの方法による材料特性を評価し、得られた結果に基づいてTiC粒子の析出挙動及び材料強化メカニズムを明らかにする。最終的には、適切な組成と熱処理条件を組み合わせ、高強度且つ高延性を備えたチタン基材料の作製に挑戦する。
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Causes of Carryover |
薬品の調達は時間がかかるため、今年度までに少量の助成金が余っています。翌年度分と合わせて、実験用のチタン粉末や酸化グラフェンなどの薬品を購入する予定です。
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