2023 Fiscal Year Annual Research Report
結晶格子の歪みを制御したペロブスカイト量子ドットの晶析条件とフロー合成法の確立
Project/Area Number |
22KJ0327
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 亮太 山形大学, 理工学研究科(理・工), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ペロブスカイト量子ドット / Aサイト / バンドギャップ / 大量合成 / LED |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度には、APbX3型ペロブスカイト量子ドット(PeQDs)の発光特性(発光波長、発光量子収率(PLQY))を、Aサイト混合を利用することで最大化した。今年度は、その発光特性の1つである発光波長に関して、①その制御メカニズムを追求した。また、本来の計画通り、②現在のバッチ式の晶析条件を連続フロー合成へと展開させた実用化向けの大量合成プロセスを確立し、最終的にLEDデバイスを構築した。 はじめに、①発光波長の制御メカニズムを追求した。前年度同様に、Aサイトには「ホルムアミジニウム(FA):2.53Å」と「メチルアンモニウム(MA):2.17Å」を選定した。結果として、(ⅰ) イオン半径の大きいAサイトが支配的な環境に対し、イオン半径の小さいA’サイトを導入することで、格子歪みを伴う結晶の収縮が生じていることを定量的に証明した。それに伴い、発光波長が徐々に青色偏向していることも明らかにした。この結果をもとに、各格子間隔と発光波長の関係性を追求したところ、PeQDsのバンドギャップを決めているB, Xサイト間の距離が発光波長と共に変化していることが明らかになった。具体的には、サイト距離が近いとB, X間で構成される混成軌道の基となるBおよびXサイトの軌道の重なりが大きくなり、サイト間距離が遠い場合は、その重なりが小さくなる。この重なりの大きさが材料のバンドギャップに相当すると結論付けた。 ②現在のバッチ式の晶析条件を連続フロー合成へと展開させた実用化向けの大量合成プロセスを確立と、LEDデバイスの構築を実施した。我々の保有する連続フロー合成法を用いて、所望の発光波長(532 nm)を実現できるPeQDsを作製したところ、バッチ式と同等の発光波長、PLQYを有するPeQDsの作製に成功した。さらに、構築したLEDデバイスでも発光波長532 nmを達成した。
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