2023 Fiscal Year Annual Research Report
2次元層状物質のコヒーレントフォノン制御下におけるキャリア輸送特性の解明
Project/Area Number |
22KJ0352
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 拓未 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 超高速分光 / 2次元物質 / 電子格子相互作用 / フォノン / 非線形光学 / 非平衡状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き2次元層状半導体2H-MoTe2に関する光励起状態に関する知見を更に深めた。これらの知見は,2次元物質の超高速な構造制御や電子状態に関する包括的で応用上意義の高い知見を与えるものである。主に,半導体2H-MoTe2における(i) 高密度電子励起下の構造ダイナミクス,(ii)長寿命コヒーレントフォノンによって駆動された電子状態とその過渡光学応答を調査した。 (i)では,高密度の光励起(波長400 nm, 1 ~ 30 mJ/cm2)での構造ダイナミクスを調査した。過渡反射率変化によるコヒーレントフォノン測定と超高速電子線回折実験の両実験ともに期待される金属相(2H*や1T'相)への過渡的な構造変化は観測されなかった。一方,4 mJ/cm2以上の光励起では,電子励起が飽和する様子(過飽和吸収)が構造の時間応答から観測された。この現象を利用することで,過飽和吸収時の電子の超高速な運動量緩和ダイナミクスを,2つの励起光の遅延時間を可変することで明らかにした。その時定数はおよそ120 fsと見積もられ,およそ使用しているパルス幅程度と見積もられた。これらの研究成果は,責任著者としてJ. Phys. Chem. C誌,および,筆頭著者としてAppl. Phys. Lett.誌に出版された。 (ii)の研究では,長寿命なコヒーレントフォノンによる電子・正孔プラズマ系の非平衡周期駆動現象の波長依存性についての実験結果を説明するために単純なモデルを構築し,観測されたフォノンの高次振動が共鳴励起で特に強められる挙動をよく説明することができた。本研究成果は,責任著者としてAPL Mater.誌に出版された。 (i), (ii)で行った研究以外でも,ダブルパルスを用いたTiSe2におけるCDW消失ダイナミクスに関する研究成果がAppl. Phys. Lett.誌に出版された。
|
Research Products
(13 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 福田 拓未, 尾崎 卯汰, 鄭 サムエル, 嵐田 雄介, 塩谷 海斗, 吉田 昭二, Paul Fons, 藤田 淳一, 上野 啓司, 長谷 宗明, 羽田 真毅2023
-
-
-
-