2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Cybernic Finger to Supplement Finger Motor Function and Sensory Function for Hand Paralysis
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21J20414
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉川 弾 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 手指麻痺 / 把持支援 / 外骨格 / パワーグローブ / 腱駆動 / ワイヤ駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,手指麻痺者が感覚情報をもとにした把持動作を可能とするため,動作意思に基づく動作補助・指の腹を阻害しない把持力計測・感覚情報の提示を行う装着型サイバニックフィンガーを研究開発している.当該年度ではサイバニックフィンガーの実現に向けて,母指,示指,中指の動作補助を行い,さらに指の腹を解放した状態で物体把持及び把持力計測を可能とする装着型把持動作支援システムの研究開発を行なった. 本システムではワイヤ牽引による示指,中指の屈曲・伸展の補助に加えて,母指の根本に設置する半リング状パーツに4方向から力を加えることで母指の2自由度の動きを補助する.さらに触覚を阻害せずに把持力を計測するために,指が物体に触れた際の指の水平方向に広がる力から指の腹にかかる荷重を推定するセンサを開発した. 開発したセンサによって,指の腹を解放した状態で指にかかる荷重の計測が可能であること,および本システムによって装着者が様々な形状の物体の把持,空中での維持が行えることを確認するために上肢に問題のない試験協力者5名に対して実証試験を行なった.指先に開発したセンサを装着し,ロードセル上に指を静置する.指上部から力を加え,センサによる推定値とロードセル計測値から誤差を算出した.また,試験協力者の左手にシステムを装着し,指の動作を補助することで日用品の把持・空中での維持の支援を行なった.センサの性能検証試験の結果より,開発したセンサは複数人の異なる指に対しても高い精度で指先の腹にかかる力を推定できることを確認した.また,物体把持試験の結果からセンサの値を用いて目標把持力で様々な形状の物体の把持・空中での維持が可能であることを確認した.以上のことから提案するシステムの指の動作補助による物体把持支援および指の腹を阻害しない把持力計測の実現可能性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では,動作意思に基づく動作補助・指の腹を阻害しない把持力計測・感覚情報の提示を行う装着型サイバニックフィンガーのうち,指の腹を阻害しない動作補助機構及び指先力センサの研究開発を本年度の目標とした. 指腹側を解放した状態で指の動作を補助する機構に関して,関節間に手背側からワイヤを通すワイヤガイドを配置し,ワイヤのみを関節軸から手掌側にずれた位置に沿わせることで手背側から力を加える機構を開発した.さらに本システムでは母指の根本に設置する半リング状パーツに4方向からワイヤ牽引による力を加えることで母指の2自由度の動作補助を実現した.物体把持試験より母指の内転・外転を切り替えることで様々な形状の日用品を把持可能となることを確認した.装着者自身の皮膚接触による物体把持支援の実現可能性を確認できたため,計画通りに進捗が生まれたと言える. 物体接触時の指の水平方向変形に伴う指側面の力から把持力推定を行うセンサユニットを開発した.このような装着型センサは指の大きさに合わせてサイズ変更することを前提としているため,グローブ部分とセンサを分離する必要があるが,このことは装着時または動作中にセンサの位置がずれてしまうという問題の原因となる.そこでサイズ調整可能な機構を持つグローブ部の末端部位をワイヤからつけ外し可能な指先センサとし,装着者の手指サイズに調整されたグローブと一体となることで同じ位置にセンサを配置できる構造とした.検証試験により,複数人の異なる指に対しても高い精度で指先の力を推定できることを確認したことから計画通りの進捗が生まれたと言える. サイバニックフィンガーの実現のうち,動作補助ユニット及び物体把持時の接触・力の情報を取得するセンサを実現した.日常生活に問題のない試験協力者複数人に対してシステムを適用しその実現可能性を確認したため,本研究の進捗は概ね順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における来年度の課題は生体電位信号を利用した動作意思推定手法及び制御手法の研究開発,本年度開発した指先力センサ等から取得した感覚情報の提示ユニットの研究開発,そして動作補助ユニット,生体電位信号を用いた制御機能及び感覚情報提示ユニットの統合である. まず手指麻痺者の前腕生体電位信号を用いた動作意思推定手法及び制御手法の開発を行う.手指麻痺者の信号は,スパイク状やまばらであり,その信号波形は健常者と大きく異なる.そのため本研究では手指麻痺者の生体電位信号の特性を考慮した,ピーク保持アルゴリズムを提案し手指麻痺者の生体電位信号を連続的な信号へと補完することで装着者の意思に従った動作補助を実現する.次に,手指の感覚情報の提示ユニットに関して振動,光などを用いて,手指の感覚情報を提示するユニットの開発を行う.感覚残存部位に開発するユニットを適用することで,手指の感覚機能に障害を有する方であっても手指の感覚情報をもとにした把持動作が可能になると考えられる.これら二つの機能を本年度開発した動作補助ユニットと統合することで,装着型サイバニックフィンガーの実現を目指す. 機能を統合したシステムを実際の手指麻痺者へ適用することで,手動作補助及び感覚フィードバックによる日用品の把持動作支援に対する本システムの実現可能性を確認する.
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