2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ0386
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梨木 聡人 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 性決定遺伝子 / 性表現 / メロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では雑草メロン系統‘UT1’の特異的な性表現の遺伝的機構を解明し、育種的利用のための技術的知見を獲得することを目的として、性表現の遺伝解析のための複数の交雑後代を用いたQTL解析による新規性決定遺伝子座の検出、多様な遺伝的背景を有する品種・系統における新規性決定遺伝子の効果の検証、主枝成性遺伝子座のファインマッピングを実施した。これまでの研究成果の概要は下記の通りである。(1)雄花両性花性のアールス系固定品種(アールスフェボリット春系3号)と全両性花性の雑草メロン系統(UT1)との正逆交雑後代(F2集団)を用いてQTL解析を実施した結果、UT1の特異的な性表現には第3番染色体に座上する主枝成性遺伝子座Opbf3.1と第8番染色体に座上する両性花性遺伝子tpbf8.1が関与することを明らかにした。(2)多様な遺伝的背景を有する品種・系統においてOpbf3.1は全ての交配組み合わせにおいて主枝成性を示し、育種利用において高い汎用性があることを明らかにした。tpbf8.1は既報の性決定遺伝子の遺伝子型は同一であったものの、交配組み合わせによって異なる表現型を示したことから、系統間におけるtpbf8.1のアリルの違いに起因すると考えられた。(3)UT1と同様の全両性花性を示す雑草メロンG1を一回親、雄花両性花性を示すノーネット系メロンを反復親とする戻し交雑後代(BC5F1)を用いてOpbf3.1の候補領域を0.2Mbまで絞り込んだ。以上の結果から、UT1の特異的な性表現の遺伝的機構の全容解明とはいかないものの、その外観は十分に説明することができた。また、Opbf3.1およびtpbf8.1に関する遺伝学的知見およびOpbf3.1のファインマッピングで開発した強連鎖マーカーは学術的のみならず産業的にも有益であり、メロンの性表現の育種利用に貢献することが期待できる。
|