2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J10941
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
GARI MAGAI 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 超多眼表示 / 立体ディスプレイ / 3D |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 違う奥行にコンテンツを提示できる時分割指向性バックライト式超多眼立体ディスプレイのプロトタイプシステムを構築した。小型液晶パネル(120Hz)、レンズと他の素材から光学システムを組み、液晶パネルを駆動する回路ハードウェアと表示内容を制御するソフトウェア実行用のパソコンで制御システムを構築した。 (2) プロトタイプシステムに対して評価実験を行った。手動でカメラの焦点を調整して撮影したところ、一方の視点に合わせて撮影すると他方の視点がぼけて表示され、水平・垂直2方向の視差が正確に表示されることが分かった。協力者実験を行い、20~30代の男女8人の目の焦点が合わされた距離を測定し、プロトタイプシステムに表示される立体画像の奥行の変動に応じたD値(焦点が合う距離の逆数)の変化を測定した。実験結果から、実験協力者のD値が画像の奥行変動に応じて変化し、提案されたシステムが実験協力者の焦点調整を誘導することが確認された。 (3) 昨年度までに開発した、二人固有視点から観察可能な指向性バックライト式裸眼立体ディスプレイについて、レンズアレイの角度を調整することで、両者用のバックライトが重ならずに立体視ができる範囲を広げた。4時分割で4視点分の高解像度立体像を提示する仕組みにおいて、時分割表示の順序の違いによるクロストークの出方の違いを評価した。 (4) 装着型立体ディスプレイに関する先行事例を調査するために、セントラルフロリダ大学のLCD研究室にて研究を行っている。最先端の拡張現実(AR)や仮想現実(VR)技術に使用される液晶をベースにした光学素子や光部品の原理や制作方法について理解を深め、これまでの研究とこの最先端技術を統合した新しい研究内容を模索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に挙げたものは全て実施し、ほぼ予定通りの成果を得ている。 観察者の焦点を任意の奥行き位置に誘導するために、時分割指向性バックライト技術と色多重化視点数増加技術を組み合わせた新しい超多眼表示手法の確立に着目し、研究を進めた。具体的には、以下の作業を行った。 (1) 三時分割と色多重化技術を利用し、単色九視点を生成する手法を提案した。小型液晶パネルとレンズにより構成された実験用プロトタイプシステムを構築した。 (2) カメラによる評価実験を行い、焦点距離を変えて観察画像を撮影した。この実験により、提案手法が既存の研究と比較して、垂直・水平2方向の視差を正確に提示できることが明らかにした。手動でカメラの焦点を調整して撮影したところ、一方の視点に合わせて撮影すると他方の視点がぼけて表示される自然なボケが観察された。 (3) リフラクトメーターを用いた協力者実験を行い、提示された画像を観察している間の協力者の目の焦点位置を測定した。この実験により、提案手法の人間の焦点調節応答刺激の効果があることを確認し、観察者の焦点を誘導できる程度を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) これまでに構築したシステムをベースにし、ウェアラブルな形のプロトタイプシステムを開発する。人間着装のニーズを応じて、3Dプリンターで作った部品を使用し、光学システムを固定する枠と眼鏡などを作る。そして、構築したプロトタイプスマートグラスを協力者による実験で評価する。また、評価実験から発見した問題点に着目し、さらに現実応用への検討と装置改良を行う。 (2) 従来の研究によると、光の回折の影響が焦点誘導性能の低下に繋がる。提案した光学システムのレンズと液晶パネルが回折にどのように影響を与えるかを調査する。光学システムをコンピューターでシミュレーションし、回折の影響を最小にするようにレンズのパラメーターを調整する。そして、実物実験でシミュレーション結果を再現する。また、回折光学素子などを利用し、回折現象の目に入る光への影響を緩和する手法も検討する。 (3) 上述した研究により、フレッシュレレートが高い小型液晶パネルの特性を立体表示装置の視点から評価する。さらに、既存の裸眼立体ディスプレイのサイズ(24インチ)より小さく、上述した小型液晶パネル(3.1インチ)より大きい液晶パネル(15.6インチ)を利用した、両眼視差を提供する指向性バックライト式立体表示装置への検討も行う。
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