2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ0397
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 卓杜 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 微小重力 / 月面重力 / 筋萎縮 / 筋線維タイプ / 骨格筋幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋線維は、収縮力や代謝能力の違いから速筋線維と遅筋線維に分類され、後肢骨格筋の内、ヒラメ筋は遅筋線維を多く含み抗重力筋とも呼ばれる。ヒラメ筋は重力変化に過敏であり、微小重力下では筋萎縮や速筋化を引き起こす。そこで、重力変化のみが骨格筋に与える影響を解析するために、国際宇宙ステーションにおいて微小重力や遠心機を用いて月面重力下(1/6 g)を作出できる特殊なシステムによって飼育したマウスのヒラメ筋を解析してきた。このシステムはコントロール群と実験群を重力環境以外、同一の環境で飼育でき、純粋な重力変化のみの影響に焦点を当てることが可能となる。 月面重力の影響を解析したところ、月面重力におけるヒラメ筋重量は地上対照と同程度であり筋萎縮は生じなかった。一方で筋タイプ変化を解析したところ、月面重力は速筋化を引き起こした。つまり、骨格筋の量的変化と質的変化を制御する重力閾値はそれぞれ別々に存在していることが明らかとなった。また、ヒラメ筋のRNAseqによる網羅的遺伝子変動解析を行ったところ、月面重力と微小重力の遺伝子発現変動パターンは類似しているものの、一部の遺伝子群については微小重力特異的に変動していることが明らかとなった。 微小重力によって遺伝子発現変動し、骨格筋における機能が未知であったDusp13について着目してきた。既存の報告やデータベースを用いて再解析を進めたところ、骨格筋の分化や成熟に重要である転写因子MyoDに制御されていることを見出した。またアデノウイルスベクターによるDusp13の過剰発現はMyogeninのタンパク発現を誘導し骨格筋幹細胞において早熟な分化を誘導することが分かった。一方で単独欠損マウスには表現型が見られなかったものの、同一ファミリーのDusp27との二重欠損マウスの表現型では、正常に筋の成熟はするが、損傷からの筋再生が遅れることを見出してる。
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