2022 Fiscal Year Annual Research Report
複数車両・複数道路橋・複数計測による車両・橋梁・路面システム同時同定法
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22J10994
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秦 涼太 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 構造ヘルスモニタリング / 車両振動 / 橋梁振動 / データ同化 / システム同定 / 車両-橋梁相互作用システム |
Outline of Annual Research Achievements |
下記の課題項目について研究実績の概要を述べる. 項目(1) 事前情報なしの単一車両・単一道路橋での推定精度向上:カルマンフィルタを適用することで,提案手法の車両と橋梁の力学パラメータ(質量・減衰・剛性)と路面凹凸の推定精度向上に成功した.提案手法は,車両振動から状態変数を推定する逆推定プロセスを含むため,車両振動にノイズが含まれる場合に推定精度が低下する.車両振動に含まれるノイズは,エンジン振動と測定ノイズを考慮し,計測される車両振動に同程度のノイズが含まれる状況を想定した.車両振動に含まれるノイズは,定常状態であれば影響を除去することができる.また,車両の速度や道路状況によっても,推定精度が変化することが明らかになり,最適な推定条件を特定するための研究を行った.加えて,簡易な三次元モデルかつ理想的状況であれば,提案手法は十分な推定精度が得られるが,複数回提案手法を実行する場合は,計算コストを低下させる必要がある. 項目(2) 事前情報を用いた推定精度向上:最適化計算を行う際の初期条件が,正解値に近い場合,車両と橋梁の力学パラメータ(質量・減衰・剛性)と路面凹凸の推定精度が向上することを明らかにした.提案手法は,車両カタログや計測された路面凹凸,直接計測した橋梁振動データ,橋梁の設計図や施工管理値などの車両振動以外のデータは,運動方程式に適合する形であれば代入可能である.また,車両振動と橋梁振動の同時測定センサシステムを開発した.実車走行可能かつ損傷導入可能な鋼製橋梁模型や,国内外の橋梁で測定実験を実施した.提案手法は,実環境で計測されたデータでは,十分な精度が得られていない.その原因として,車両のローリング回転や伸縮装置による衝撃応答の影響が考えらえる.また,実車両に加速度センサを水平に取り付けることは困難であるため,角度補正法も考案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた課題は,想定通り遂行された.また,複数データの統合処理を検証するためのデータも,重量車両において十分蓄積された.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前半は,項目(3)複数車両振動データの活用の課題に取り組む.単一橋梁を異なる車両でそれぞれ評価し,車両重量等の違いにより推定結果の信頼性に影響を与えるかどうかを検証する.また,重量車両での計測結果と比較するために,軽量車両での走行実験を実施する.次年度後半では,項目(4)複数車両・複数橋梁における詳細点検データの活用法の課題に取り組む.
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