2023 Fiscal Year Research-status Report
分子動力学計算に基づくノンコーディングRNAの立体構造予測
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22KJ0421
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
保田 拓範 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | ノンコーディングRNA / 分子動力学計算 / Enhanced Sampling法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ノンコーディングRNA(ncRNA)の機能解明における構造的アプローチの確立を目的とする。ncRNAは、機能発現の際、固有の立体構造を形成するため、ncRNA の機能を解明する上でその立体構造を十分に探索することは急務である。しかし、ncRNA の機能解明における構造的アプローチは依然として発展途上である。そこで、本研究では、ncRNAの立体構造を効率的に探索する計算手法を開発する。さらに、開発したシステムを用いてncRNAとRNA結合タンパク質の結合様式を解明する。 初年度は、分子動力学計算(MD)を用いてncRNAを始めとした生体分子の立体構造を効率的に探索する手法の開発を行った。具体的には、拡張型のMDであるEnhanced Sampling(ES) 法のパラメーター探索を自動化するアルゴリズムを開発し、チューニングを必要とせず、生体分子(タンパク質/核酸)へ依存度が低い、効率的に立体構造を探索する手法の開発に成功した。一方で、ncRNAに特化したアルゴリズムに改変することでその立体構造探索効率を上昇させうる余地が存在することも明らかになっていた。 そこで今年度は、昨年度までに得られた知見をもとにncRNAに特化した構造探索法の開発を行った。具体的には、タンパク質の構造探索において高い効率を示すES法であるReplica Exchange Solute Tempering 2 (REST2)法のアルゴリズムに、ncRNAの構造情報を組み込むことでその構造探索に特化した手法を開発した。さらに、開発したアルゴリズムを複数の実験的に立体構造が決定されているncRNAのテストシステムに適用することで、計算した予測安定構造と実験構造を比較・構造探索効率の検証を行った。結果として、提案した計算手法は既存の手法と比較して、高い構造探索効率を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほとんどのテストシステムにおいて、開発したアルゴリズムを用いることでncRNAの立体構造を効率的に探索できることが示されたため、一定の目標は達成した考えている。一方、一部システムにおいて正解の構造を検出することができずその原因を検証に時間を要している。そのため、本年度に到達予定であったncRNAとRNA結合タンパク質の結合様式を解明には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発手法は、これまで開発されてきた様々なES法と比較して効率的にncRNAの立体構造探索できる可能性を示している。一方で、開発したアルゴリズムが動作しづらいシステムがあることも明らかになった。来年度以降は、得られた知見をもとにより堅牢な構造探索法の開発を行っていきたい。また、近年の研究から機械学習を用いることでncRNAやその複合体をある程度予測できる手法も開発されてきた。そこで、そのような手法と組み合わせることで、より効率的かつ堅牢な手法開発を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していた大規模計算を実施しなかったため、スーパーコンピューターの使用料として計上していたその他に当たる経費が余剰となったため。また、円安の進行に伴うオープンアクセス費用の上昇に備えて、物品の購入などを次年度に振り替えたため。これらの余剰額と翌年度の助成金は、オープンアクセス費用およびスーパーコンピューターの使用料、学会参加費にあてる計画である。
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