2023 Fiscal Year Research-status Report
革新的骨髄移植と老化トレーサー実験による加齢性疾患発症機序解明と臓器若返りの試み
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22KJ0426
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 真由美 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 加齢性疾患 / 慢性腎臓病 / 骨髄移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では固形臓器老化・若返りの鍵が骨髄と臓器自体のどちらにあるかを検証する目的で、若齢/老齢骨髄+若齢/老齢レシピエント個体の4群マウスによる高齢発症臓器障害モデルを作成し、臓器障害度の評価を行い、骨髄 /固形臓器老化の寄与度を明らかにすることを目的としている。前年度にC57BL6の若齢マウス及び高齢マウスにおいてウシ血清アルブミンBSA誘発・膜性腎症モデルを作成し老齢個体と比較して若齢個体で有意に尿蛋白の程度が低く、BSA腎炎マウスが高齢発症モデルとして適切であることを確認したことをベースに、若齢/高齢マウスから採取した骨髄を若齢/高齢マウスにそれぞれ移植した後にBSA投与を行い、骨髄移植後にBSA腎炎モデルを作成した。蓄尿及び腎組織採取を行い、尿蛋白量や腎炎組織所見について解析を重ねている。尿蛋白量については現在n数蓄積中ではあるものの老齢マウスであっても若齢マウス骨髄を移植することにより、老齢マウス骨髄を移植する場合と比較して尿蛋白量が少ないデータが得られている。老齢マウスの死亡等によるn数の蓄積に難渋したものの当初の計画に基づいて研究を継続している。今後さらに、老齢マウスに老化細胞除去薬として知られる化合物を投与することにより、腎障害度の減弱を得られるかどうか検討を進めていく予定である。また、マウス膜性腎症モデルの研究に関連し、ヒトにおいても膜性腎症の抗原探索研究を行った。ヒト膜性腎症では2007年に同定されたphospholipase A2 receptor(PLA2R)を筆頭に複数の抗原が同定されつつある。遺伝子発現ベースを使用したIn-silicoアプローチとヒト腎の免疫染色法を組み合わせた検討を行い、学会発表及び英文誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から継続し、若齢/高齢マウスから採取した骨髄を若齢/高齢マウスにそれぞれ移植した後にBSA投与を行い、骨髄移植後にBSA腎炎モデルを作成した。さらに、蓄尿及び腎組織採取を行い、尿蛋白量や腎炎組織所見について解析を重ね、老齢マウスであっても若齢マウス骨髄を移植することにより、老齢マウス骨髄を移植する場合と比較して尿蛋白量が少ないというデータを蓄積することができている。さらに、ヒト膜性腎症についても研究を継続し成果を挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果に引き続き、加齢性腎疾患モデルにおける老齢骨髄+若齢レシピエント個体、若齢骨髄+老齢レシピエント個体、老齢骨髄+老齢レシピエント個体、若齢骨髄+若齢レシピエント個体の4群マウスを作成を継続し、それらの臨床病理評価、老化マーカーを検討する。蓄尿終了後にはそれぞれの腎組織の病理学的評価を行う。現段階としては加齢性疾患モデルの代表例として、まずBSA腎炎モデルを作成したが、今後その他の加齢性腎疾患モデルを応用し、ApoE KO・動脈硬化モデル等の他臓器の加齢性疾患モデルを作成する。これにより、腎疾患のみならず、全身各臓器への展開を目指していく。
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Causes of Carryover |
出産、育児に伴い当初予定していた国際学会、遠方の国内学会への成果発表、参加に制限があったこと、試薬の購入等を最小限としていたことを理由として挙げる。今年度は研究活動はもちろんのこと国内外における学会発表を含め積極的に行っていくため必要十分な経費と考える。
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