2022 Fiscal Year Annual Research Report
小脳におけるペルフルオロオクタンスルホン酸による発達神経毒性発現機構の体系的解析
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22J11280
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
二ノ宮 彩音 群馬大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) / 海馬 / 小脳 / 環境化学物質 / 内分泌かく乱物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、環境化学物質として依然社会問題となっているペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の脳機能発達への影響の解明をテーマに研究を遂行した。授乳期PFOS曝露の小脳機能発達への影響は論文発表するに至った(Ninomiya et al. Food and Chemical Toxicology, 2022)。これまでの海馬ならびに小脳における授乳期PFOS曝露の影響を踏まえ、新たに2つのプロジェクトを樹立した。 1. 授乳期PFOS曝露の老年期における影響の解明 これまでの我々の研究では、授乳期PFOS曝露の影響を青年期(生後70日)にて観察していたが、それ以降の老年期(生後1年齢以上)における脳機能への影響は不明である。そこで、これまで使用した授乳期PFOS曝露モデルを用い、老年期での脳機能(主に認知・記憶を司る海馬機能)への影響を検討した。行動実験では、物体位置記憶において、PFOS群では長期記憶に減弱が見られた。また、不安様行動の増加や、社会性行動の減少も認められた。PFOS曝露群の海馬では、アルツハイマー病で増加するとされるリン酸化Tauの増加傾向が見られた。 2.海馬機能発達への影響における詳細なPFOS曝露時期の同定 これまでの研究では、マウスの脳発達に重要とされる生後14日にPFOSを曝露していたが、生後0-7日、生後8-14日、とより詳細に曝露時期を分割し生後21日で行動実験を行った。生後8-14日にPFOSに曝露された群に比べ、生後0-7日にPFOSに曝露された群では、記憶学習の減弱がより顕著に現れた。この曝露時期の差が、海馬の遺伝子発現プロファイルにも反映されていないかを調べた。生後0-7日曝露群では、GDFという神経細胞分化に重要とされる分子の遺伝子発現が最も顕著に減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授乳期PFOS曝露の小脳機能発達における影響について、予定よりスムーズに論文発表することができた。そのため、新たな2つのプロジェクトを樹立し、本年度中に研究を遂行することができた。 一方で、当初予定していた小脳プルキンエ細胞でのカルシウムイメージングやシングルセルqPCRについては、実験設備のセットアップに予想より長く時間を要している状況であり、本年度中に遂行することはできなかった。 代替案として、上記の新規プロジェクトを遂行しており、論文投稿の準備も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
授乳期PFOS曝露の老年期における影響の解明では、今後は、Tauのリン酸化を引き起こすとされるアミロイドβの蓄積を調べるため、大脳切片を用いて、アミロイドβの前駆体であるAPPの免疫染色を行う予定である。本年度は、沖縄県や神奈川県の米軍基地周辺における高濃度PFOS漏洩に始まり、東京多摩地区における水道水中の高濃度PFOSの検出が明らかとなり、連日住民運動が活発に行われた。これまで以上に、PFOSの社会での存在感が高まった年であったと感じる。この状況をうけ、より迅速かつ正確に、PFOSの健康への影響を社会に発信できるよう日々研究を遂行していきたいと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The neurotoxic effect of lactational PFOS exposure on cerebellar functional development in male mice2022
Author(s)
Ayane Ninomiya, Abdallah Mshaty, Asahi Haijima, Hiroyuki Yajima, Michifumi Kokubo, Miski Aghnia Khairinisa, Winda Ariyani, Yuki Fujiwara, Sumiyasu Ishii, Nobutake Hosoi, Hirokazu Hirai, Noriyuki Koibuchi
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Journal Title
Food and Chemical Toxicology
Volume: 159
Pages: 112751
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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